能力不足等による解雇
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思ったような働きが見られず、従業員を解雇したいとのご相談が後を絶ちません。
従業員を解雇するには、それ相当の合理的な理由があり、適正な手続を踏まなければ不当解雇となってしまう恐れがあります。(そもそも、従業員は解雇に値すると思っていないケースが殆どであると言えます)
無用な労働トラブルを避ける意味でも、以下のポイントを押さえておきましょう。
1. 解雇の要件
従業員を解雇するには、次の2つの基本的な要件があります。
- やむを得ない理由があること。
- 30日以上前の予告又は30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払うこと。
「やむ得ない理由」とは、例えば、経営難に陥って事業所を閉鎖する場合や、逆に、労働者の心身の状態が業務に耐えられないと判断される場合などがそれに当たります。
また、30日以上前の予告については、①雇用期間が1ヶ月以内の日雇労働者、②2ヶ月以内の臨時労働者、③4ヶ月以内の季節労働者、④試用期間中の労働者で14日以内の者は不要とされています。
2. 勤務不良や能力不足等を理由として解雇する場合
特に注意を要するのが、勤務不良や能力不足等を理由として解雇する場合ですが、このような場合は、
客観的に見て、現在の職務において改善の見込みがなく、他に活用の可能性もなく、解雇しなければ企業の事業運営に支障をきたす。
といった事情が必要であるとされています。
具体的には次のような事情が求められますのでご留意ください。
【勤務不良・能力不足等を理由とする解雇で求められる具体的な事情】
- 勤務態度、非違行為が重大で解雇に値するものであること。
- 不良事実が多数回に及ぶこと。
- 能力不足、適性、成績は相対的評価によるものではなく、絶対評価により解雇に値するものであること。
- 再教育や指導及び他の職務に配置転換をして能力発揮の機会を与えても改善が見込めないこと。
なお、能力不足等に当たるかどうかについては、本人の年齢や職歴や経歴なども判断要素と考えられており、例えば、本人が20歳か30歳台で職務経験が少ない場合と、高度の専門性や能力を買われてヘッドハンティングされた場合では、後者の方が使用者の期待値が高くなるのは当然で、その分、解雇は有効と判断されやすいと言えます。