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若年者納付猶予制度
労働社会保険レポート!

今回は、国民年金における30歳未満対象の「若年者納付猶予制度」についてレポートします。

このような猶予制度は知っているか、知らないかで本人にとって大きな差が生じる場合があります。

あまりご存知でないという方は、ぜひ参考にして頂ければ幸いです。

<目次>

  1. 主旨
  2. 対象
  3. 申請要件
  4. 政令で定める所得額とは?
  5. 免除を受けた場合どうなるのか?

注) このレポートは 2007年5月15日現在 の法令に基づき作成されています。


1. 主旨

この制度は、就職が困難あるいは失業等により低所得である20歳台の方が、将来の無年金・低年金となることを防止するため、本人が将来実際に保険料を負担できることとなった時点で保険料を追納できる仕組みを用意することとされています。

※ 2005(H17)年4月~2015(H27)年6月までの10年間の特例措置。


2. 対象

30歳の誕生月の前月までの被保険者期間がある第1号被保険者等


3. 申請要件

この特例の適用を受けるためには申請が必要になります。

申請する場合には、次の要件を確認したうえで行う必要があります。

  1. 本人及び配偶者が申請免除事由(政令で定める所得額以下等)に該当すること
  2. 以下の期間でないこと(注:以下の期間に該当すれば申請できません。)
    ① 申請免除期間
    ② 3/4免除期間、半額免除期間、1/4免除期間
    ③ 学生等である期間、学生等であった期間
    ④ 保険料の納付済期間、あるいは前納や追納を行った期間

4. 政令で定める所得額とは?

前年所得(1~6月の保険料は前々年の所得)が「35万円×(本人+扶養親族数)+22万円」をいいます。

4-1. 計算例

扶養親族が2名の場合 → 35万円×3+22万円=127万円となります。

4-2. その他の申請免除事由

  1. 本人やその世帯員が生活保護法による生活扶助以外の扶助や援助を受けるとき
  2. 地方税法の障害者または寡婦で、前年の所得が125万円以下であるとき
  3. 天災その他の厚生労働省令で定める事由があるとき

5. 免除を受けた場合どうなるのか?

免除を受けた場合どうなるかについてまとめると次のようになります。

  1. 免除された期間は、年金の受給資格期間(≒加入期間)には算入されますが、年金額の計算には反映されません。(「カラ期間」と言われています。)
  2. 10年間は追納可能で、追納された場合は保険料納付済期間として年金額に反映されます。
  3. 免除期間中といえども障害者となったり死亡した場合は、障害基礎年金や遺族基礎年金が支給されます。ただし、支給要件を満たしている場合に限られます。
  4. 付加保険料の納付を行うことができなくなります。
  5. 国民年金基金に加入することができなくなります。なお、既に加入員である場合は、その資格を喪失することになります。

あとがき

もうお分かりかも知れませんが、一般的なサラリーマンで、勤務先で厚生年金保険に加入している場合は、この免除制度の対象とはなりません。

厚生年金保険に加入していることは、同時に国民年金(基礎年金)にも加入していることになり、厚生年金保険料を納めている(給料天引されている)こと自体、国民年金料を納めていることになるからです。

さて、今回レポートにまとめた制度は、あまり身近でない分、その存在を知らなかったという方も多いのではないかと思いますが、いつこういうった知識や情報が役に立つかわかりません。

特に転職する場合などで、すぐに年金保険料が払えないというケースも出てこないとも限りません。

そういった際には、ぜひこの制度の利用を検討されてはいかがでしょうか…。

さらに詳しい情報を知りたい方や、申請を検討される方は、お近くの年金事務所や社会保険労務士などにご相談ください。