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傷病手当金とは?
労働社会保険レポート!

今回は、健康保険の「傷病手当金」について、レポートにまとめました。

傷病手当金とは、被保険者が業務以外の病気やケガなどにより療養のため仕事に就くことができず、報酬(給与)が受けられない時に、その間の被保険者や家族の生活を保障するために健康保険から支給されるものです。

以下は、協会けんぽの例ですが、各種健康保険組合の場合も同様の給付があります。

<目次>

  1. 傷病手当金の支給要件
  2. 傷病手当金が支給期間と支給額
  3. 傷病手当金の手続きに関するポイント
  4. 傷病手当金とその他給付との調整

注) このレポートは 2011年11月18日現在 の法令に基づき作成されています。


1. 傷病手当金の支給要件

要件1 : 業務外の事由による病気やケガのために療養中であること

勤務中(業務上)の病気やけがの場合、労災保険にて給付されます。

要件2 : 仕事に就くことができないこと(労務不能)

労務不能の判定は、本来の業務に耐えられるか否かを基準として行います。
家事手伝いなどの場合、病気の状態が職場における労務不能の程度であれば対象となります。
しかし、本来の業務でない軽労働に従事する場合、労務不能と判定されず傷病手当金は支給されません。

要件3 : 連続する3日間を含み、4日以上労務に服せなかったこと

労務不能のため仕事を休み、連続する3日間の待期を完成して、4日目も労務不能のため仕事を休み、給与(報酬)の支払いを受けない場合は4日目から支給され、その日が起算日となります。

〔補足〕 待機期間について

最初の3日間は、「待期期間」とされ傷病手当金は支給されませんが、この間に会社が給与を支払っている、または年次有給休暇で処理をしても待期は完成します。


要件4 : 給与(報酬)の支払がないこと

休んだ期間について、給与の支払いがない場合に支給されますが、給与の支払いがあっても傷病手当金の額より少ない場合は、その差額が支給されます。

〔補足〕 資格喪失後の継続給付について

被保険者の資格を失った場合でも、資格喪失日の前日(退職日等)までに被保険者期間が継続して1年以上あり、資格喪失日の前日(退職日等)に傷病手当金の支給を受けているか、受けられる状態であれば、資格喪失後も引き続き支給を受けることができます。



2. 傷病手当金の支給期間と支給額

2-1. 支給期間

支給開始日から最長で1年6ヶ月の期間で支給要件を満たした期間について支給されます。

  • 支給開始日は、実際に傷病手当金の支給が開始された日で、これを起算日としています。
  • 就労時間中に業務外の事由で発生した傷病について労務不能となった場合は、その日の待期期間の初日として起算されます。
  • 土日、祝日の公休日も待期期間中に算入されます。

2-2. 支給額

1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する額(1円未満四捨五入)

  • 標準報酬日額とは、標準報酬月額の30分の1に相当する額(10円未満四捨五入)
  • 標準報酬月額とは、被保険者の受ける報酬を47等級の金額に類型化したもので1級ごとに標準報酬月額が定められています。
    例) 第1級 5万8千円 ~ 第47級 121万円の範囲内

3. 傷病手当金の手続きに関するポイント

3-1. 提出期限

労務不能であった日ごとにその翌日から2年間

3-2. 添付書類

第1回目の申請の際には、次の書類を添付します。(※2回目以降の申請の際は不要

  • 賃金台帳の写し
  • 出勤簿(タイムカード)の写し
  • 負傷原因報告書(ケガの場合必要になります)
  • 第三者の行為による傷病届(第三者による傷病の場合)

3-3. その他

  • 医師が証明しない期間は労務不能と認められません。
  • 提出期限内であれば一定の期間分をまとめて請求することもできますが、被保険者の生活費を補填するという目的を考慮すると、1ヶ月ごとに請求するとよいでしょう。その際は、給与の締切日ごとに区切ると様式の記入が容易になります。
  • 同一傷病につき支給開始日から1年6ヶ月を限度としていますが、これは暦日であり、1年6ヶ月分支給されるということではありません。

4. 傷病手当金とその他給付との調整

4-1. 障害厚生年金又は障害手当金の給付を受けている場合

傷病手当金を受けられる期間が残っていた場合でも、同一の傷病等による厚生年金保険の障害厚生年金か障害手当金を受けるようになったときは、傷病手当金は支給されません。ただし、障害手当金の額の360分の1が傷病手当金の日額より低い場合は、その差額が支給されます。また、障害手当金の場合は、傷病手当金の額の合計額が障害手当金の額に達することとなるまでの間、傷病手当金は支給されません。

4-2. 出産手当金の支給を受けることになった場合

傷病手当金と出産手当金を同時に受けられる場合は、出産手当金の支給が優先し、その間、傷病手当金は支給されません。

4-3. 休業補償の給付を受けることになった場合

労災保険から休業補償給付を受けている期間に、業務外の理由による病気やけがのために労務不能となった場合は、その期間中傷病手当金は支給されません。ただし、休業補償給付の日額が傷病手当金の日額より低い場合は、その差額が支給されます。

4-4. 老齢退職年金を受けるようになった場合

退職後、傷病手当金の継続給付を受けている方が、老齢退職年金を受けるときは、傷病手当金は支給されません。ただし、老齢退職年金の360分の1が傷病手当金の日額より低い場合は、その差額が支給されます