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昨今、話題に上がることの多い社会保険ですが、国からお金を受け取る「給付」に関しては、世間一般に浸透しており、専門家でなくとも詳しい方は多いかと思います。
「病気で入院し〇日休んだので、健康保険から〇〇円の手当が支給されるはず。」
「長年連れ添った夫が他界したので、遺族年金が〇〇円くらいは受けられるはず。」
と、このような会話はよく耳にします。
しかし、納める方の「保険料」については、ただ「高いなぁ~」、「上がっていく一方で困るなぁ~」と嘆いているだけで、案外節減には無頓着ではないでしょうか…。
今回は、社会保険の制度上、保険料の減免が可能なケースなどについて、医療保険と年金に分けてご紹介しますので、ぜひ参考にして下さい。
注) このレポートは 2007年11月5日現在 の法令に基づき作成されています。
日本では「国民皆保険」とされ、生活保護の受給者などの一部を除く日本国内に住所を有する全国民(及び日本に1年以上在留資格のある外国人)が何らかの形で健康保険に加入するように定められています。
加入者の職業により、大きくは次のように分かれます。
現在、全国健康保険協会の保険料率は、各県ごとに一定の範囲内で自由に設定できるようになりました。
また、健康保険組合は財政状況に応じて一定の範囲で組合が独自に設定できます。このため財政にゆとりのある組合は、協会けんぽより割安な保険料で運営することができます。
組合管掌の健康保険に加入するには、審査をパスすることが必要ですが、給付面でも協会けんぽより充実していることがあり、ある程度の条件を満たすと思われる会社は、検討してみてはいかがでしょうか・・・。
自営業者については、市町村が運営する国民健康保険に加入するほか、同種の事業又は業務に従事する者で組織する国民健康保険組合に加入することができます。
赤字財政が多い市町村国保と比較すると、業種により財政力の大きい組合も多くなっています。
国民健康保険組合の保険料は組合員の収入が多い少ないにかかわらず均等です。
ただし、扶養家族についても保険料が発生するため、大勢の扶養家族を抱える従業員が多い事業所は、メリットがないかも知れませんが、給付面についても考慮に入れ、検討してみるのもよいでしょう。
会社を退職した後も次の要件を満たしている場合、協会けんぽ又は組合管掌健康保険の被保険者資格を継続することができます。
なお、任意継続被保険者となることができるのは2年間です。
保険料は、
のいずれか低い方の額です。
ですから、退職時に高額な給与を受けていた方ほど加入のメリットは大きいと言えます。(ただし、保険料は全額個人負担となります。)
退職後は、市町村が運営する国民健康保険への加入と任意継続被保険者制度の利用の両者を比較検討することをおすすめします。
日本の公的年金制度には、次の3種類があります。
国民年金の保険料(月額14,100円)は納付が困難な場合に減免申請が可能です。
経済的な理由などで保険料を納めることができない場合、保険料の免除制度があります。
免除期間は老齢基礎年金受給資格要件の期間(25年以上)に算入されますが、全額納付した場合に支給される年金額と比べると減額されます。
20~29歳の第1号被保険者で前年の所得が57万円以下の人(結婚している場合はその配偶者も含む)は、届出をすると保険料の納付が猶予されます。
猶予期間は老齢基礎年金受給資格要件の期間(25年以上)に算入されますが、年金額には反映されません。
大学(院)・短大・高等専門学校・専修学校などの学生で、前年の所得が118万円以下の人は届出をすると保険料の納付が猶予されます。
猶予期間は老齢基礎年金受給資格要件の期間(25年以上)に算入されますが、年金額には反映されません。
いずれの制度も承認期間から10年以内であれば、遡って追納することができます。
また、一定の納付要件を満たせば、免除や猶予期間中でも、障害や死亡など不慮の事故が起こった場合に満額の障害基礎年金や遺族基礎年金が支給されます。
免除等の制度が利用できない方も、保険料を前納すれば、年率4%の割引があります。
1年分の保険料を現金で前納すると3,000円割引かれ、さらに口座振替を利用すると、550円の割引があります。(6ヶ月分の前納、1ヶ月早期の口座振替にも一定の割引があります。)
① 1歳(保育所の入所手続ができない等の事情があれば1歳6ヶ月)に満たない子
② 1歳から3歳までの子
この①、②の子を養育するため休業している従業員を使用している事業主が年金事務所に保険料の免除申請をすると、従業員・事業主負担分ともに免除されます。
つまり、育児休業を開始した月から最長3年間免除され、しかも将来の年金額は、育児休業前と同額の保険料を納めたものとして取り扱われます。
また、休業せずとも3歳に満たない子を養育するために勤務時間を短縮し、そのために給与が下がる場合があります。
その場合、従業員が申し出れば、下がった給与に応じて保険料も減額されます。
こちらも、将来の年金額は、育児休業前と同額の保険料を納めたものとして取り扱われます。
これらの減免制度は2年間遡って申請することも可能ですので、申請を忘れていた方も適用されます。
過去2年以内に育児休業を取得されたことのある方はぜひ申請されることをおすすめします。
今回は、知っていればすぐにでも実行に移せる減免制度についてご紹介しました。
次回は、賃金制度や就業規則等の社内制度の見直しによる社会保険料の節減方法をレポートしたいと思いますので、是非そちらもご覧ください。