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今回は、雇用保険の「特定理由離職者」についてレポートします。
前回の「特定受給資格者」のレポートでは、労働者が離職(退職)する際、その離職理由(解雇・倒産など)によっては、一般の離職者に比べて優遇措置を受けられるようになることを解説しました。
今回は、期間の定めのある労働契約が更新されなかった場合や、やむを得ない理由によって離職した場合に優遇措置の対象となる「特定理由離職者」について解説します。
かつて、単に「自己都合」として扱われていたものでも、正当な理由があったりすると、この「特定理由離職者」に該当し、優遇措置を受けられる場合がありますので、ぜひ参考にして頂ければ幸いです。
注) このレポートは 2010年5月24日現在 の法令に基づき作成されています。
特定理由離職者とは期間の定めのある労働契約の期間が満了し労働契約が更新されなかったこと、その他やむを得ない理由により離職した者であり、具体的には次の事項に該当した者をいいます。
労働契約が更新されなかった者がその労働契約の更新を希望したにもかかわらず、更新についての合意が成立せずに離職した場合に限ります。(契約期間は3年未満に限られ、3年以上ある場合の雇止めは特定受給資格者になります。)
労働契約において、契約更新条項が「契約を更新する場合がある」など、契約の更新について明示はあるが確約まではない場合は特定理由離職者に該当する一方、当初から契約の更新がない旨が明示されている労働契約の場合は特定理由離職者に該当しません。
特定理由離職者に該当するかどうかの判断は持参する資料等に基づきハローワーク(公共職業安定所)が行います。
特定理由離職者に該当すると一般の離職者に比べ失業給付(基本手当)の受給要件が緩和され、給付日数が優遇される場合がありますが、具体的には次のようになります。
(※ 特定受給資格者と同じ。)
基本手当の受給資格を得るのに必要な被保険者期間
□ 一般の離職者の場合 → 12ヶ月以上(離職日以前2年間)
□ 特定理由離職者の場合 → 6ヶ月以上(離職日以前1年間)
基本手当の給付日数は基本的には手厚くなりますが、離職時に45歳未満で被保険者期間1年以上5年未満の場合の給付日数は一般の離職者と同じ90日となり、一般の離職者と変わらないケースもありますのでご注意ください。
なお、最新情報は「ハローワークインターネットサービス」をご覧ください。
特定理由離職者が特定受給資格者と同じ所定給付日数分の失業給付を受給できるのは離職の日が平成21年3月31日から平成24年3月31日までの間にある離職者に限られています。これは、この間については特定理由離職者を特定受給資格者とみなして扱うことにするという暫定措置をとっているからです。
特定受給資格者の場合は、会社の倒産や解雇等により離職を余儀なくされた方に対して、基本手当の受給要件が緩和されたり、所定給付日数が手厚くされたりしていましたが、特定理由離職者の場合は、非正規労働者のセーフティーネット強化が目的とされ、有期労働契約の更新を希望したにもかかわらず、更新されなかった離職者等を一般の離職者と区別して扱うというものです。
事業主としては、労働者を雇い入れる際に契約期間を定める場合は、契約更新の有無、また更新の判断基準を書面に明記しておく必要があります。
そして、契約期間の満了前に更新の有無を明確に伝え、合意しておくことが労使トラブルを未然に防ぐ意味でも大切となります。