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今回は、雇用保険の「特定受給資格者」についてレポートします。
従業員が離職(退職)する際、その理由によっては「特定受給資格者」として扱われる場合がありますが、この「特定受給資格者」に該当すると、一般の離職者に比べ失業給付(基本手当)を受ける際の受給要件が緩和されたり、給付日数が増えたりして優遇されることがあります。
したがって、離職者にとって離職理由は以前に増して重要と言え、この離職理由を巡って労使トラブルにまで発展するケースがあります。
労使トラブルを回避する意味においても、まずは「特定受給資格者」とはどのようなものか、正しく理解しておく必要がありますので、今回のレポートがその一助となれば幸いです。
注) このレポートは 2010年5月9日現在 の法令に基づき作成されています。
特定受給資格者とは、倒産・解雇等により離職を余議なくされた者をいい、具体的には次の事項に該当したことにより離職した者をいいます。
特定受給資格者に該当するかどうかの判断は、次の資料に基づきハローワーク(公共職業安定所)が行います。
特定受給資格者に該当すると一般の離職者に比べ失業給付(基本手当)の受給要件が緩和され、給付日数が優遇される場合がありますが、具体的には次のようになります。
基本手当の受給資格を得るのに必要な被保険者期間
◇ 一般の離職者の場合 → 12ヶ月以上(離職日以前2年間)
◇ 特定受給資格者の場合 → 6ヶ月以上(離職日以前1年間)
基本手当の給付日数は基本的には手厚くなりますが、離職時に45歳未満で被保険者期間1年以上5年未満の場合の給付日数は一般の離職者と同じ90日となり、一般の離職者と変わらないケースもありますのでご注意ください。
なお、最新情報は「ハローワークインターネットサービス」をご覧ください。
労働者からすると、雇用保険における離職理由は、失業給付(基本手当)に給付制限がかかったり、給付日数に差が生じたり、また被保険者期間(加入期間)の長短によっては支給されないこともあり得ますので、失業中の生活に直結する重要な問題と言えます。
したがって、離職理由(自己都合か会社都合や解雇か)を巡る労使トラブルはよく起こるのですが、中には事業主が、離職理由がはっきりしないにもかかわらず、一方的に自己都合として処理してしまったために起きているケースがあります。
このようなトラブルを未然に防ぐためには、事業主と労働者が離職に至るまでの経緯などを事前に相互確認しておくことが重要となります。
日常的に社内でコミュニケーションを図ることは重要ですが、それは退職していく労働者に対しても同じです。
もし、退職前に当事者間で話し合いができないなどの場合は、できる限り勝手な判断は避け、最寄りのハローワークや専門家などにご相談されることをおすすめします。