中薗総合労務事務所

   

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雇用保険法の改正(H19)
労働社会保険レポート!

今回は、雇用保険法の改正について、実務に大きく関係してくる3つのポイントをレポートします。

<目次>

  1. 基本手当(失業給付)の受給資格要件の変更
  2. 育児休業給付の給付率の変更
  3. 教育訓練給付の要件・内容の変更

注) このレポートは 2007年6月26日現在 の法令に基づき作成されています。


1. 基本手当(失業給付)の受給資格要件の変更

これまでは週の所定労働時間によって被保険者区分というのが、短時間労働者以外の一般被保険者(週30時間以上労働)と短時間被保険者(週20~30時間労働)に分かれていたことで、基本手当の受給資格要件(離職日前に必要とされる被保険者期間)も次のように分かれていました。

改正前
短時間以外の一般被保険者 → 6ヶ月(14日以上の出勤を1ヶ月とカウント)
短時間労働被保険者 → 12ヶ月(11日以上の出勤を1ヶ月とカウント)

これが、平成19年10月1日以降に離職した方から次のように変更されます。
(被保険者区分をなくし一本化されます。)

改正後
被保険者区分にかかわらず → 12ヶ月(11日以上の出勤を1ヶ月とカウント)
ただし、倒産・解雇等により離職された方は6ヶ月(11日以上出勤したものを1ヶ月とカウント)となりますのでご注意ください。

2. 育児休業給付の給付率の変更

これまでの育児休業給付の給付率は次の通りとなっていました。

改正前
休業期間中30% + 職場復帰6ヶ月後10%

これが、平成19年4月1日以降に職場復帰された方から平成22年3月31日までに育児休業を開始された方までを対象に次の通り変更されます。

改正後
休業期間中30% + 職場復帰6ヶ月後20%
今回の法改正では結局、給付率が従来の40%から50%へ暫定的に引き上げられることとなりました。ただし、平成19年10月1日以降に育児休業を開始された方から、育児休業給付の支給を受けた期間が、基本手当(失業給付)の算定基礎期間から除外されますのでご注意ください。
〔補足〕 算定基礎期間とは?

基本手当(失業給付)を何日分支給できるかは、離職日現在の年齢と被保険者であった期間によって決まりますが、この被保険者であった期間を基本手当の算定を行う際の基礎期間という意味で「算定基礎期間」と読んでいます。

従来は、たとえ育児休業給付を受けたとしてもこの算定対象期間に影響を与えませんでしたが、平成19年10月以降は取扱いが変わりますので注意が必要です。



3. 教育訓練給付の要件・内容の変更

教育訓練給付については、これまでは被保険者期間に応じて次のように給付率および上限額が異なっていました。

改正前
被保険者期間3年以上5年未満 → 20%(上限10万円)
被保険者期間5年以上 → 40%(上限20万円)

これが、今回の法改正によって、平成19年10月以降に指定講座の受講を開始された方から次の通り給付率および上限額が一本化されることになりました。

改正後
被保険者期間3年以上 → 20%(上限10万円)
ただし、本来は「3年以上」の被保険者期間が必要とされる受給要件が、当分の間、初回に限り「1年以上」に緩和されることとなりました。

あとがき

今回の改正ポイントは、いずれも実務で頻繁に関わってくる給付関係の改正となります。

暫定的な措置となっている部分もありますので、実務に携わっておられる方は、今後も引き続き法改正情報に対する注意が必要になると思います。