兵庫県尼崎市西立花町3-4-1 パークビル201
TEL 06-6430-6318(営業時間:平日9:00~18:00)
今回は、基本的な知識の整理として「労災保険の概要」についてレポートします。
労災保険についてあまりご存知ない方はもちろん、既に制度内容をご存知の方は改めて確認して頂ければ幸いです。
注) このレポートは 2011年1月23日現在 の法令に基づき作成されています。
労災保険とは、労働者災害補償保険法という法律に基づく制度で、業務上の災害や通勤災害により、労働者が
について、被災労働者やその遺族に対し保険給付を行うことを目的としています。
また、この他に被災労働者の社会復帰の促進、遺族の援護等も行っています。
労災保険で行っている事業をまとめると次のようになります。
労災保険の適用範囲については、労働者を一人でも使用する事業は適用を受けることになり、保険料は全額事業主負担となります。
なお、保険制度への加入は労働者ごとでなく事業場単位で行われ、保険給付等の対象となる労働者には、正社員のみならずパート、アルバイトなども含まれます。
労災保険は本来、強制的に適用されることになっていますが、次に掲げる事業については任意加入とされています。
業務災害とは、労働者が労働契約に基づいて使用者の支配下において労働を提供する過程で、業務に起因して発生した災害をいいます。
業務災害と認められるには「業務遂行性」が認められた上で「業務起因性」が認められなければなりません。
業務遂行性がなければ業務起因性も成立しませんが、業務遂行性があれば必ず業務起因性があるとは限りません。
業務上と認められるのは、ケース別に次のような場合となっています。
一方、次のような場合には業務上とは認められないことがあります。
これらの場合は、基本的に事業主の管理下にあるとみなされますので業務上と認められます。
ただし、休憩時間中や就業前後であっても私的行為については、原則として業務上と認められませんのでご注意ください。
例えば、休憩時間中に同僚と相撲をとっていて腰を痛めた場合や、キャッチボールの球を受け損なって負傷した場合等では、事業場の施設・設備又はその管理不備に起因することが明らかでない限り業務上とは認められません。
出張の場合は、私用で寄り道をした場合を除き、用務先へ向かって住居又は事業場を出たときから帰り着くまでの全工程にわたって業務上と認められます。
この場合は、事業主の施設管理下を離れてはいますが、労働契約に基づき事業主の命令を受けて仕事をしているわけですから、仕事の場所はどこであっても、途中で労働者が積極的な私的行為を行うなど特段の事情が無い限り業務遂行性が認められ、業務起因性についても特にこれを否定する事情が無い限り認められることになります。
業務上の疾病は、労働基準法施行規則別表第1の2で定められているものに限られます。
これは、疾病は負傷等と違って、業務と業務以外の原因によって生ずるものとの判別が難しいからで、医学経験則上、業務との因果関係が確立されている疾病をあらかじめ定めているのです。
「通勤」とは、労働者が就業に関し、次に掲げる移動を合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くとされています。
合理的な経路及び方法とは、移動を行う場合に、一般に用いると認められる経路及び手段等をいい、必ずしも一つに限定されるものではありません。
例えば、勤務先に届出た経路及び方法は一般的に合理的な経路及び方法と認められますが、それ以外は認められないということではなく、例えば、道路工事や交通事情等により迂回した場合は合理的経路と認められます。
しかし、特段の理由もなく著しく遠回りしたり、運転免許を有しないのに自動車で通勤したりするのは、合理的な経路・方法とは認められません。
通勤途上の災害は、本来業務上の災害とはいえませんが、業務との密接な関連があることから業務上の災害と同様に取り扱われ、業務災害に準じて保険給付が行われます。
ただし、業務災害に比べ次のような相違点がありますのでご注意ください。
通勤途中で就業又は通勤と関係のない目的で合理的な経路をそれることを「逸脱」といい、通勤と関係のない行為をすることを「中断」といい、労働者が逸脱又は中断した場合には、逸脱・中断の間及びその後は通勤とはされません。
ただし、逸脱又は中断があっても、それが日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により最小限度で行う場合には、逸脱又は中断の間を除いて通勤とされます。
例えば、通勤途中で近くの公衆便所を使用したり、タバコや雑誌などの日用品を購入したりするなど些細な行為を行う場合がこれに当たりますが、厚生労働省令では次のように定めています。