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今回は、労災保険の特別加入制度の中で「海外派遣者」についてレポートします。
労災保険は、中小事業主や自営業者、海外派遣者などは原則として加入できませんが、一定の要件を満たし政府の承認があれば特別に加入することが認められています。これを「特別加入制度」といいます。
労災保険の主旨は、業務災害や通勤災害について「事業主にある補償義務を国が肩代わりする」ことで安定的な補償を行おうというもので、その保護対象は、原則として国内で起きた災害となります。
したがって、海外派遣者については本来、労災保険の保護対象とはされておらず、加入も認められていません。
しかし、日本国内の企業等から海外に派遣される者で、日本国内の事業主の保険関係が成立しているなど一定の要件を満たしている場合は、例外的に保険加入を認め、他の被保険者と同様に保護していこうと考えられています。
特別加入することができる方は、第1種~第3種に区分されていますが、このレポートでは第3種「海外派遣者」について解説していきます。
注) このレポートは 2007年7月12日現在 の法令に基づき作成されています。
労災保険の特別加入制度における海外派遣者とは、次のように定義されています。
海外の事業が「特定事業」に該当する場合は、事業主又は労働者以外の者として派遣される者も含まれます。
なお、「特定事業」とは次の事業のことをいいます。
特別加入するには、上記に該当したうえで、さらに次の要件を満たしていることが必要とされています。
〔注1〕 海外の派遣先の事業は有期事業でも可
〔注2〕 申請は「特別加入申請書」を所轄労働監督署に提出することによって行います。
海外派遣者の特別加入が承認されると、原則として一般的な労働者と同様に保険給付等が受けられるようになります。
ただし、二次健康診断等給付、ボーナス特別支給金の給付は対象外となります。
労災保険から給付を受ける際に給付基礎日額が用いられることがありますが、海外派遣者の特別加入者の場合は3,500円~20,000円までの13階級の中から本人の希望する額に基づいて都道府県労働局長が決定することとされています。
給付基礎日額が高くなれば、保険料も高くなる仕組みとなっています。
政府の承認によりいつでも脱退できます。
また、派遣元の保険関係の消滅など要件に該当しなくなったときには、自動的に特別加入者たる地位も消滅することとなっています。