社会保険労務士 尼崎 ‐ 中薗総合労務事務所

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マイナンバー制度のポイント(H27)
労働社会保険レポート!

平成28年1月より、いよいよマイナンバー制度がスタートします。

当事務所でも最近はマイナンバーについての問い合わせが増えてきました。

自治体や業界団体など随所で説明会やセミナーが開かれ、詳しい説明がなされたホームページも数多く見られるのに、どうして問い合わせがこんなに多いの? と疑問に感じていましたが、これは要するに、「知りたいこと(だけ)が簡単に分かる」説明会やホームページがないからではないでしょうか。

そこで今回は、マイナンバーについてポイントを絞り、分かりやすく説明していきます。

目次

  1. そもそも、マイナンバーってなに?
  2. 誰がどのような場面で使うの?
  3. 実生活への影響は?
  4. 事業者が知っておくべきマイナンバーのポイント

注) このレポートは 2015年9月10日現在 の法令に基づき作成されています。


1. そもそも、マイナンバーってなに?

マイナンバーとは、国内で住民登録をしている全ての人に対して、割り当てられる個人番号のことです。

全国民に割り当てられる背番号と言えば分かりやすいでしょう。

ただし、野球選手のように同じ番号を使ったり、途中で番号を変えたりすることはありません。

原則として、一度指定されたマイナンバーを生涯使い続けることになります。

現状では平成27年10月ごろから、住民票の所在地に順次、「番号通知カード(※マイナンバーカードではありません)」が届く予定となっています。

国内に住民登録をしていない人(海外在住者)には、当面マイナンバーは割り当てられません。

特別な事情により(夫のDVによる別居など)、住民票の所在地で通知カードを受け取れない場合には、希望する自治体で受け取ることも可能です(要申請)。

一般的な利用だけであれば通知カードだけでも大丈夫です。

ただし、現在住民基本台帳カードを使用している人、免許証のように身分証明書のように利用したい人は、マイナンバーカードを別途申請する必要があります。


2. 誰がどのような場面で使うの?

マイナンバーを利用するのは、県や市町村、年金事務所や公共職業安定所(ハローワーク)、税務署といった行政機関のみです。

また、利用される範囲は(今のところ)3つの分野に限られています。

社会保障分野
年金の資格取得・喪失や受給、雇用保険の資格取得・喪失や受給(失業手当など)のために利用されます。また、福祉や医療の分野で給付を受けたり、事務手続きを行ったりするためにも利用されます。
税の分野
確定申告書や源泉徴収票、各種届出書に記載されることとなり、税務署が国民の所得・納税状況を正しく把握するために利用されます。
災害対策分野
被災者の生活再建支援金の支給に関する事務手続きなどに利用されます。

上記3分野以外でマイナンバーが使用されることはありません。

例えば、民間の事業者が顧客を識別する目的としてマイナンバーを収集および取り扱うことは禁止されています。


3. 実生活への影響は?

「3分野と言われても、実生活においてマイナンバーがどのように影響してくるのか、今ひとつピンとこない」という方も多いでしょう。

そこでいくつか例を挙げてみます。

〔例1〕 サラリーマンの場合

会社に勤めるサラリーマンの場合、平成27年末から28年初にかけて、会社から通知カードの提出を求められるでしょう。

これは、平成28年1月以降、雇用保険の手続書類や源泉徴収票にマイナンバーを記載することになっているからです。

ただし、会社を退職することがなければ、平成28年の年末調整時までマイナンバーの出番はないかもしれません。

また、平成29年1月以降、健康保険・厚生年金の手続書類においてもマイナンバーの記載が必要になります。

結婚・出産などで扶養家族が増えた、あるいは就職などで扶養家族が減った、保険証を紛失したので再発行をしたい、けがをして会社を休んだので傷病手当金を受給したい…といった全ての手続きに本人、もしくは扶養家族のマイナンバーが必要になると思われますのでご注意ください。

※ 現時点ではどの申請に必要になるかは明らかにされていません。

〔例2〕 収入のない専業主婦や子どもの場合

収入のない専業主婦や子どもは自身でマイナンバーを使用する機会は少ないと思われますが、前述した通り、扶養家族である妻や子が就職したり、高額療養費の申請や限度額適用認定書の申請を行ったりする場合、妻自身が年金の請求をする場合などには本人のマイナンバーが必要になります。

例えば、子が就職して扶養家族の資格を喪失した場合、父親は自分が勤める会社へ子のマイナンバーを用いて喪失手続をし、子は就職した会社へ自分のマイナンバーを通知する必要があります。

2016年1月以降、預金口座を開いている銀行へも届出が必要とされていますが、これについては今のところ任意です。

また、予定では2017年に消費税が増税された際の軽減税率還付分についても、マイナンバーが利用されると議論されていますが、これについては未定です。

〔例3〕 パートタイマーで働く主婦の場合

勤務先で雇用保険や健康保険に加入している場合は、当然ながらマイナンバーを勤務先に通知しなければなりません

また、社会保険に加入していない場合でも、年末調整時には源泉徴収票への記載が必要になりますから、勤務先から通知を求められることになります。

最近は少額投資で収入を得ている主婦も多いようですが、非課税限度額を超えた場合や医療費控除を受けるには確定申告が必要となり、その際はマイナンバーが必要となります。


4. 事業者が知っておくべきマイナンバーのポイント

マイナンバー導入については、一般の方々よりも、事業者側の不安のほうが大きいようです。

と言うのも、事業者は全社員、場合によってはアウトソーシングをしている個人事業者のマイナンバーを収集・運用し、管理しなければならないからです。

また、マイナンバーはそれひとつで個人のあらゆる情報が知れる最大・最強の個人情報です。

ゆえに事業者としては漏えいのないよう、取扱いは慎重を期さねばなりません。

当然、管理を怠った事業者には罰則が適用されます。

それだけに不安を抱える事業者は多いようです。

では、事業者が押さえるべきポイント(導入ステップ)を大まかに説明しましょう。

(1)  基本方針を策定する

従業員のマイナンバーをどのようにして収集するか、誰が管理をするか、従業員にどのようにして周知させるか、給与システムや社会保険手続など、実際の運用についてはどうするか、情報漏えいをどのようにして防ぐかなど、基本方針について定めます。

一般的には経営陣が中心となって策定し、実質的な運用・管理を総務課が担当するというケースが多いと思います。

(2)  運用・管理マニュアルを作成する

基本方針が策定できれば、それをマニュアルに落とし込みます。

明文化することで業務フローや責任が明確化し、運用や従業員への周知が行いやすくなるからです。

(3)  就業規則を変更する

就業規則には、入社時に提出する書類について条文化されています。

そこにマイナンバーを追記しなければなりません。

また、利用目的についても明らかにする必要があります。

(4)  必要書類を作成する

従業員への周知文はもちろんのこと、届出書、利用に関する同意書、受領書、管理簿、従業員の扶養親族に関わる社会保険手続を行う際には、扶養親族が署名捺印する委任状などが必要になります。

(5)  マイナンバーを収集する

管理に十分配慮しながら、マイナンバーを収集します。

中には提出を拒む従業員も現れるかもしれません。そのような時はどのように督促するか、対応策を決めておくことも重要です。

(6)  マイナンバーを運用する

平成28年1月以降に退職する従業員については、早速マイナンバーを記載しての雇用保険喪失手続や、源泉徴収票の発行が必要となります。

また、従業員のみならず、顧問税理士や顧問社会保険労務士、外部講師など、取引先への支払調書を発行する際にも記載しなければなりません。

なお、源泉徴収票は従来のA6サイズからA5サイズに様式が変更されます。

平成29年1月以降は、社会保険手続にも必要になります。


〔参考〕 政府広報

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あとがき

いかがでしたでしょうか。

まだまだマイナンバーへの備えは手つかずの企業が多いようですが、体制が不十分なまま運用を始めると、予期せぬトラブルが起こり本業へも影響を来しかねません。

また、情報漏えいなどで大きな損害を被ってしまう恐れもあります。

自社のみでの対応が不安な場合は、マイナンバー制度の専門家である社会保険労務士にご相談ください。

執筆 : 社会保険労務士 吉松 正人