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今回のレポートは、「新型インフルエンザへの対応」について、とりわけ欠勤した場合の賃金の取扱い、つまり休業手当の支払義務を中心にまとめました。
まだ対応が十分できていない事業所様におかれましては、ぜひ参考として頂ければ幸いです。
注) このレポートは 2009年11月4日現在 の法令に基づき作成されています。
新型インフルエンザに感染し、医師等による指導により従業員が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、労働基準法第26条で定める休業手当を支払う必要はありません。
なお、医師や保健所による指導や協力要請の範囲を超えて休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまりますので、休業手当を支払う必要が生じます。
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。
新型インフルエンザかどうか分からない時点で、発熱などの症状があるため従業員が自主的に休む場合は、通常の病欠と同様に取り扱うこととなり、一般的には年次有給休暇を取得することが適当であると考えられます。
一方、例えば熱が37度以上あることなど一定の症状があることのみをもって一律に従業員を休ませる措置をとる場合のように、使用者の自主的な判断で休業させる場合は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまることがあり、その場合は休業手当を支払う必要が生じます。
新型インフルエンザに感染している者の近くにおり、濃厚接触者であることなどにより保健所による協力要請等で従業員を休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。
ただし、保健所による協力要請の範囲を超えて休業させる場合や、使用者の自主的判断で休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまりますので、休業手当を支払う必要が生じます。
家族が新型インフルエンザに感染している従業員について、濃厚接触者であることなどにより保健所による協力要請等で従業員を休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。
ただし、協力要請等の範囲を超えて休業させる場合や、使用者の自主的判断で休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまりますので、休業手当を支払う必要が生じます。
なお、上記のケース1~4で休業手当を支払う必要がないとされる場合においても、自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分検討する等、休業の回避について通常使用者として行うべき最善の努力を尽くしていないと認められた場合には、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当する場合があり、休業手当の支払が必要となることがありますのでご注意ください。
新型インフルエンザに感染している疑いのある従業員について、一律に年次有給休暇を取得したこととする取扱いについては、年次有給休暇は原則として労働者の請求する時季に与えなければならないものですので、使用者が一方的に取得させることはできないと考えられます。
新型インフルエンザへの対応は、いかに感染を予防するかという視点も大切です。
そこで、企業等でできる感染予防策について例示します。
休業手当の支払義務は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」であるかどうかがポイントとなってきます。
例えば、感染拡大を恐れて、自主的な判断で従業員を休業させる場合は、この「使用者の責に帰すべき事由による休業」になります。
いずれにしても、従業員側からの申告がなければ、予防が遅れてしまい感染が拡大してしまうことになりますので、被害を最小限にとどめるためには、日頃からの従業員への啓蒙が何より大切になってくると考えます。