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今回は、「労働基準法の罰則Ⅰ」に続いて、罰則という観点から労働基準法の各規定をご紹介していきます。
労働基準法は、違反内容の重軽によって4種類の罰則を設けているのですが、今回ご紹介する規定は比較的軽く、罰金刑が科されるものです。
しかし、だからといって違反が許されるわけではありませんので、労務管理上は十分ご注意ください。
注) このレポートは 2007年10月26日現在 の法令に基づき作成されています。
次の 4-1.~4-12. の規定に違反した場合は、30万円以下の罰金に処せられることがあります。
労働契約は、期間の定めがないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるものの外は、3年を超える期間について締結してはならない。
ただし、次の場合は5年となります。
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
労働者が、退職の場合において使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職(解雇)の事由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。また、労働者が解雇の予告をされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。なお、この証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。
そして、使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分もしくは労働組合運動に関する通信をし、又は上記の証明書に秘密の記号を記入してはならない。
使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があった場合においては、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称のいかんを問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。なお、この賃金又は金品に関して争いがある場合においては、使用者は、異議のない部分を7日以内に支払い、又は返還しなければならない。
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令もしくは労働協約に別段の定めがある場合、又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払いの方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合、又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
そして、賃金は毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。
使用者は、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は就業規則その他これに準ずるものにより、1ヶ月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が法定労働時間を超えない定めをしたときは、その定めにより、特定された週又は特定された日に法定労働時間を超えて労働させることができる。なお、労使協定は、行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出なければならない。
使用者は、労使協定により、下記に掲げる事項を定めたときは、対象期間として定められた期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において、当該協定の定めによって特定された週又は特定された日に法定労働時間を超えて労働させることができる。
なお、労使協定は、行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出なければならない。
使用者は、小売業、旅館、料理店、及び飲食店の事業であって、常時使用する労働者数が30人未満のものに従事する労働者については、労使協定があるときは、1日について10時間まで労働させることができる。なお、労使協定に基づき1週間単位の非定型的変形労働時間制により労働させる場合には、少なくとも当該1週間の開始する前に、当該1週間の各日の労働時間を書面で労働者に通知しなければならない。
事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときであって、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。なお、当該業務に関し、労働時間を定めた労使協定があるときは、その協定で定める時間を当該業務の遂行に通常必要とされる時間とする。そして、当該労使協定は、行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出なければならないが、協定で定める時間が法定労働時間以下である場合には、届け出る必要はない。
使用者が、労使協定により専門業務型裁量労働制の対象となる業務のうち労働者に就かせることとする業務、当該業務に従事する労働者の労働時間として算定される時間その他一定の事項を定めた場合において労働者を当該業務に就かせたときは、労使協定で定める時間労働したものとみなす。なお、使用者は、労使協定を行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出なければならない。
使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
労働基準監督官又は女性主管局長もしくはその指定する所属官吏の臨検を拒み、妨げ、もしくは忌避し、その尋問に対して陳述せず、もしくは虚偽の陳述をし、帳簿書類の提出をせず、又は虚偽の記載をした帳簿書類の提出した者。なお、「臨検」とは、労働基準監督官が職務執行のため、労働基準法違反の有無を調査する目的で事業場に立入り調査することをいう。
2回にわたって罰則が設けられている労働基準法の規定についてレポートしてきましたが、皆さん自身、もしくは皆さんが勤務されている会社の状況に照らしていかがでしたでしょうか…?
労働基準法には、意外と罰則が設けられている規定が多いということをあらためて知ったという方も多いのではないかと思われます。
労働基準法の違反に対して罰則が設けられているのは、罰則を設けてでも労働者の権利を守らなければならないという主旨が込められていると考えられています。
ですので、罰則があるから守らなければならないという単純なものではありません。
結局、罰則の重軽というのは、守らなければならない規定の優先順位とも取れますので、前回のレポートと合わせて、今一度「罰則」という観点から労働基準法を眺めていただければ幸いです。
きっと、それぞれの規定の重みといった違った観点から見ることができると思われますので…。