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雇用対策法の改正(H19)
労働社会保険レポート!

今回は、2007(H19)年10月1日施行の「雇用対策法」の改正についてレポートします。

この法改正に伴い、外国人労働者の雇用管理が大きく変わります。

該当する企業様におかれましては、十分注意が必要ですので、ぜひこの機会にご確認ください。

なお、今回のレポート内容は、厚生労働省ホームページより引用し、まとめています。

<目次>

  1. 改正ポイント
  2. 外国人雇用状況の届出
  3. 雇用管理の改善等に関して事業主が構ずべき措置

注) このレポートは 2007年8月23日現在 の法令に基づき作成されています。


1. 改正ポイント

1-1. 外国人雇用状況の届出

外国人(特別永住者を除く。)の雇入れ・離職の際、その氏名、在留資格等を届け出てなければなりません。

ハローワークでは、これに基づき雇用環境の改善に向けて、事業主の方への助言・指導や離職した外国人への再就職支援を効果的に行うこととなります。

1-2. 雇用管理の改善等に関する指針の作成

事業主の方が遵守すべき法令や、努めるべき雇用管理の内容等が指針として整理されました。これに沿って、職場環境の改善や再就職の支援に取り組まなければなりません。

1-3. 不法就労の防止

上記 1-1. の届出に当たり、事業主の方が在留資格等を確認すること等により不法就労の防止が図られます。


2. 外国人雇用状況の届出

外国人労働者(特別永住者を除く)を雇用する場合、その氏名、在留資格等のハローワークへの届出が必要です。

※ ハローワーク窓口への届出のほか、電子申請によることも可能です。

2-1. 雇用保険の被保険者である外国人の場合

届出方法
雇用保険の被保険者資格の取得届又は喪失届の備考欄に、在留資格、在留期限、国籍等を記載して届け出ることができます。
届出期限
取得届又は喪失届の提出期限と同様に、雇入れの場合は翌月10日までに、離職の場合は翌日から起算して10日以内となります。

2-2. 雇用保険の被保険者ではない外国人の場合

届出方法
届出様式(ハローワークの窓口にて配布又は厚生労働省ホームページでダウンロード可能)に、氏名、在留資格、在留期限、生年月日、性別、国籍等を記載して届け出なければなりません。
届出期限
雇入れ、離職の場合ともに翌月末日まで
(例:10月1日の雇入れ → 11月30日までに届出)

2-3. 平成19年10月1日時点で現に雇い入れている外国人の場合

届出方法
届出様式(ハローワークの窓口にて配布又は厚生労働省ホームページでダウンロード可能)に、氏名、在留資格、在留期限、生年月日、性別、国籍を記載して届け出なければなりません。>/dd>
届出期限
平成20年10月1日となっています。但し、この間に離職した場合は、上記(1)又は(2)に従い届出なければなりません。
確認方法
  • 氏名・在留資格・在留期限・生年月日・性別・国籍
    → 「外国人登録証明書」又は「旅券(パスポート)」
  • 資格外活動許可の有無
    → 「資格外活動許可書」又は「就労資格証明書」


3. 雇用管理の改善等に関して事業主が構ずべき措置

3-1. 外国人労働者の募集及び採用の適正化

a. 募集

募集に当たっては、従事すべき業務内容、賃金、労働時間、就業場所、労働契約期間、労働・社会保険関係法令の適用に関する事項について、書面の交付または電子メール(希望のあった場合に限る)により、明示しなければなりません。

特に、外国人が国外に居住している場合は、事業主による渡航費用の負担、住居の確保等の募集条件の詳細について、あらかじめ明確にするよう努めなければなりません。また、国外に居住する外国人労働者のあっせんを受ける場合には、許可または届出のある職業紹介事業者から受けるものとし、職業安定法や労働者派遣法に違反する者からはあっせんを受けてはなりません。職業紹介事業者に対し求人の申込みを行うに当たり、国籍による条件を付すなど差別的取扱いをしないよう十分留意しなければなりません。

b. 採用

採用に当たっては、あらかじめ在留資格上、従事することが認められる者であることを確認することとし、従事することが認められない者については、採用してはなりません。在留資格の範囲内で、外国人労働者がその有する能力を有効に発揮できるよう、公平な採用選考に努めなければなりません。新規学卒者等を採用する際、留学生であることを理由として、その対象から除外することのないようにするとともに、異なる教育、文化等を背景とした発想が期待できる留学生の採用により、企業の活性化・国際化を図るためには、留学生向けの募集・採用を行うことも効果的であることに留意しなければなりません。

3-2. 適正な労働条件の確保

a. 均等待遇

労働者の国籍を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱いをしてはなりません。

b. 労働条件の明示

外国人労働者との労働契約の締結に際し、賃金、労働時間等の主要な労働条件について、当該外国人労働者が理解できるようその内容を明らかにした書面を交付しなければなりません。

c. 適正な労働時間の管理等

適正な労働時間の管理を行うほか、労働者名簿等の調製を行なわなければなりません。また、外国人労働者の旅券等を保管しないようにすること。退職の際には、当該労働者の権利に属する金品を返還しなければなりません。

d. 労働基準法等の関係法令の周知

関係法令の定めるところにより、その内容について周知を行なわなければなりません。その際には、分かりやすい説明書を用いる等、外国人労働者の理解を促進するため必要な配慮をするよう努めなければなりません。

3-3. 安全衛生の確保

a. 安全衛生教育の実施

外国人労働者に対し安全衛生教育を実施するに当たっては、当該外国人労働者がその内容を理解できる方法により行なわなければなりません。特に、外国人労働者に使用させる機械設備、安全装置または保護具の使用方法等が確実に理解されるよう留意しなければなりません。

b. 労働災害防止のための日本語教育等の実施

外国人労働者が労働災害防止のための指示等を理解することができるようにするため、必要な日本語及び基本的な合図等を習得させるよう努めなければなりません。

c. 労働災害防止に関する標識、掲示等

事業場内における労働災害防止に関する標識、掲示等について、図解等の方法を用いる等、外国人労働者がその内容を理解できる方法により行うよう努めなければなりません。また、労働安全衛生法等の定めるところにより健康診断を実施しなければなりません。

d. 労働安全衛生法等関係法令の周知

関係法令の定めるところによりその内容についてその周知を行なわなければなりません。その際には、分かりやすい説明書を用いる等外国人労働者の理解を促進するため必要な配慮をするよう努めなければなりません。

3-4. 雇用保険、労災保険、健康保険及び厚生年金保険の適用

a. 制度の周知及び必要な手続きの履行

雇用保険、労災保険、健康保険及び厚生年金保険に係る法令の内容及び保険給付に係る請求手続等について、周知に努めなければなりません。労働・社会保険に係る法令の定めるところに従い、被保険者に該当する外国人労働者に係る適用手続等必要な手続をとらなければなりません。

b. 保険給付の請求等についての援助

外国人労働者が離職する場合には、離職票の交付等、必要な手続を行うとともに、失業等給付の受給に係る公共職業安定所の窓口の教示、その他必要な援助を行うように努めなければなりません。労働災害等が発生した場合には、労災保険給付の請求その他の手続に関し、外国人労働者からの相談に応ずること、当該手続を代行することその他必要な援助を行うように努めなければなりません。

厚生年金保険への加入期間が6ヶ月以上の外国人労働者が帰国する場合、帰国後に脱退一時金の支給を請求し得る旨を説明し、社会保険事務所等の関係機関の窓口を教示するよう努めなければなりません。

3-5. 適切な人事管理、教育訓練、福利厚生等

a. 適切な人事管理

職場で求められる資質、能力等の社員像の明確化、職場における円滑なコミュニケーションの前提となる条件の整備、評価・賃金決定、配置等の人事管理に関する運用の透明化等、多様な人材が能力発揮しやすい環境の整備に努めなければなりません。

b. 生活指導等

日本語教育及び日本の生活習慣、文化、風習、雇用慣行等について理解を深めるための指導を行うとともに、外国人労働者からの生活上または職業上の相談に応じるように努めなければなりません。

c. 教育訓練の実施等

教育訓練の実施その他必要な措置を講ずるように努めるとともに、苦情・相談体制の整備、母国語での導入研修の実施等働きやすい職場環境の整備に努めなければなりません。

d. 福利厚生施設

適切な宿泊の施設を確保するように努めるとともに、給食、医療、教養、文化、体育、レクリエーション等の施設の利用について、十分な機会が保障されるように努めなければなりません。

e. 帰国及び在留資格の変更等の援助

在留期間が満了する場合には、雇用関係を終了し、帰国のための手続の相談等を行うように努めなければなりません。また、在留資格の変更等の際は、手続に当たっての勤務時間の配慮等を行うように努めなければなりません。

f. 労働者派遣または請負を行う事業主に係る留意事項

派遣元事業主は、労働者派遣法を遵守し、適正な事業運営を行なわなければなりません。

例えば、

  • 従事する業務内容、就業場所、当該外国人労働者を直接指揮命令する者に関する事項等、派遣就業の具体的内容の当該外国人労働者への明示
  • 派遣先に対し派遣する外国人労働者の氏名、労働・社会保険の加入の有無の通知 等

派遣先は、労働者派遣事業の許可または届出のない者からは外国人労働者に係る労働者派遣を受けてはなりません。

さらに、請負を行う事業主にあっては、請負契約の名目で実質的に労働者供給事業または労働者派遣事業を行わないよう、職業安定法及び労働者派遣法を遵守しなければなりません。請負を行う事業主は、雇用する外国人労働者の就業場所が注文主である他事業主の事業所内である場合に、当該事業所内で、雇用労務責任者等に人事管理、生活指導等の職務を行わせなければなりません。

3-6. 解雇の予防及び再就職援助

事業規模の縮小等を行おうとする時は、外国人労働者に対して安易な解雇等を行わないようにするとともに、やむを得ず解雇等を行う場合は、再就職を希望する者に対して、関連企業等へのあっせん、教育訓練等の実施・受講あっせん、求人情報の提供等当該外国人労働者の在留資格に応じた再就職が可能となるよう、必要な援助を行うように努めなければなりません。

3-7. 外国人労働者の雇用労務責任者の選任

外国人労働者を常時10人以上雇用する時は、この指針に定める雇用管理の改善等に関する事項等を管理させるため、人事課長等を雇用労務責任者として選任しなければなりません。


あとがき

今回の法改正は、雇用・労働環境の変化を踏まえた、時代を感じる法改正と言えますが、要は外国人労働者についても、日本人と同様に労働法が適用されるのだということをご理解いただければと思います。

雇用管理の改善については「努力義務」に留められていますが、届出については、怠ったり、虚偽の届出を行った場合には、30万円以下の罰金の対象となりますので、十分ご注意ください。