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今回は、「健康診断の費用負担」についてレポートします。
健康診断は、法令で会社に実施が義務付けられていることは、皆様もよくご存知かも知れませんが、その費用については、本来、会社と従業員のどちらが負担すべきものなのか? といったところについては、意外と知られていません。
不要なトラブルを避ける意味でも、ぜひ今回のレポートをご参考にして頂ければ幸いです。
注) このレポートは 2013年9月4日現在 の法令に基づき作成されています。
労働安全衛生法第66条は、会社に対し、従業員の健康診断を義務づけていますが、この費用については、誰が負担するかについての定めがありません。
しかし、旧労働省(現厚生労働省)労働基準局長より施行通達が出されていますので、基本的にはこれに従うこととなります。
以上のことから、会社員担は避けられないと考えられます。
雇入れ時の健康診断に関しても、定期健康診断を含む一般健康診断同様、費用は会社が負担すべきだと考えられます。
ただし、健康診断の必須項目が満たされていれば、入社前(およそ3ヵ月以内)に受診した健康診断書を流用して雇入れ時健康診断に替えることは問題ないとされていますので、その場合は、改めて受診するわけではないので費用負担は問題とならないと考えられます。
会社は従業員に対し、必ず医師による健康診断を受けさせなければならないことになっていますが、一方では、従業員も会社が行う健康診断を受ける義務(安衛法第66条第5項)があります。
従って、単純拒否者(特に理由もないのに受診拒否をする者)に対しては、例えば、就業規則でペナルティーを課すことも可能です。業務に支障をきたすような症状がみられるにもかかわらず、受診命令を拒んだ場合は、健康回復努力義務違反とみなされるでしょう。
なお、従業員によっては個人的な事情により、会社指定の医療機関を拒否する者がいますので、こうした者に対しては、無理に指定の医師に受けさせる理由もありませんので、健康診断書の提出をもって会社の実施する健康診断を受診したのと同様に扱うことになります(この場合は、仮に就業規則で「会社指定の医師による健康診断の受診義務」を規定したとして、これに反したからといって直ちに就業規則違反には問えるわけではありませんので注意が必要です)。ただし、従業員が選択した医療機関の受診結果について会社が疑問を持つ合理的理由がある場合は例外とされています。
そして、従業員が会社の実施する健康診断を希望せず、他の医療機関等で受診した場合の費用は原則として「自己負担」となります。また、法定の省略基準を満たすもの以外で、次の法定項目のうち一つでも欠けている場合には、定期健康診断を受診したことにはなりませんので注意が必要です。
(※)は省略基準あり。
また、今後、法改正で上記項目にメンタルヘルス関連の項目を加えることが検討されています。
費用負担に関する定めはありませんが、就業規則により私傷病休職していた者が復職する際の条件として、会社指定の医師による診断書提出の義務を規定している場合には、法定の健康診断とは違い、この規定は有効となり、当該従業員は従う必要があります。