中薗総合労務事務所

   

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職場の熱中症対策
労働社会保険レポート!

今回は、職場における「熱中症対策」、「熱中症予防」をテーマにレポートします。

会社には、職場環境を守る安全配慮義務が課せられていますが、これには自然現象も含みます。

近年では、猛暑に伴って「熱中症対策や熱中症予防」が重要なテーマになっていますが、この安全配慮義務を怠ると、会社としての責任を問われかねませんので今回のレポートをぜひ参考にして頂ければ幸いです。

<目次>

  1. 熱中症とは
  2. 職場における熱中症対策について

注) このレポートは 2013年8月24日現在 の法令に基づき作成されています。


1. 熱中症とは

熱中症とは、高温多湿な環境下において、体内の水分および塩分(ナトリウム等)のバランスが崩れ、体内の調整機能が破綻するなどして発症する障害の総称をいいます。

症状としては、

  • めまい・失神
  • 筋肉痛・筋肉の硬直
  • 大量の発汗
  • 頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感
  • 意識障害・痙攣・手足の運動障害
  • 高体温

などが特徴で、重篤な場合は死に至る場合もあります。


2. 職場における熱中症対策について

熱中症対策に関しては、厚生労働省より、これまでの熱中症対策を整理して打ち出された通達『職場における熱中症の予防について』(平21.6.19基発第0619001号)が示されていますのでご確認ください。

2-1. WBGT値(暑さ指教)の活用

暑さ指数であるWBGT値(湿球黒球温度(単位:℃))を求め、労働者の熱への順化(熱に慣れ、その環境に適応すること)の有無および作業内容等ごとに定められた基準値を超える場合には、身体作業強度の低い作業への変更などの対策に努めるとともに、基準値を超える場合には下記の対策の徹底を図ることを求めています。

WBGTとは?

屋外でスポーツや労働などをする際に熱中症にならないための指標。WBGTは、湿度、輻射熱、気温の3つを組み合わせて算出される。環境省ではWBGTを「暑さ指教」として公表し、5段階で危険度を色分け表示している。

31度以上 運動は原則中止
28~31度 ピンク 厳重注意
25~28度 警戒
21~25度 注意
21度まで ほぼ安全

2-2. 作業環境管理

作業場所の冷房等によるWBGT値の低減、休憩場所の整備等を図ること、自覚症状の有無にかかわらない「水分・塩分の摂取」が求められています。

2-3. 作業管理

  • 休憩時間等を確保すること
  • 身体作業強度が高い作業を避けることなどの対策に努めること
  • 熱への順化の有無が熱中症の発生リスクに大きく影響することから、計画的に熱への順化期間(熱に慣れ、その環境に適応する期間)を設けることが望ましいこと
  • 自覚症状の有無にかかわらず水分・塩分の作業前後および作業中の定期的な摂取の徹底を図ること
  • このため、摂取を確認する表の作成、巡視などを行うこと
  • 透湿性および通気性の良い服装等を着用させること

などが求められています。

2-4. 健康管理

熱中症の発症に影響を与えるおそれのある疾患(糖尿病等)を踏まえた健康管理に留意することが求められています。

熱中症の発症に影響を与えるおそれのある糖尿病、高血圧痛、心疾患、腎不全等に関して、

  1. 健康診断の実施等の適切な措置の徹底を図ること
  2. 当該疾患治療中等の・労働者については、産業医等の意見を勘案して、必要に応じて、就業場所の変更、作業の転換等の適切な措置を講ずること
  3. 労働者に対して、当該疾患治療中等の場合は熱中症予防のため対応が必要であることを教示するとともに、対応が必要となる可能性があると判断した場合などには申し出るよう指導すること
  4. 日常の健康管理の指導、必要に応じ健康相談を行うこと
  5. 作業開始前、作業中の巡視による労働者の健康状態の確認等を行うこと

などです。

2-5. 労働衛生教育

作業管理者、労働者へ教育を行うことが求められています。

2-6. 救急処置

緊急連絡網の作成および周知、熱中症を疑わせる症状が現れた場合は、涼しい場所で身体を冷やし、水分および塩分の摂取等を行います。また、自己で判断せず必要に応じて救急隊の要請等を行うことが求められています。

2-7. 水分・塩分の摂取量等

身体作業強度等に応じて必要な摂取量等は異なりますが、WBGT基準値を超える場合は、少なくとも、0.1~0.2パーセントの食塩水、ナトリウム40~80mg/100mlのスポーツドリンク又は経口補水液等を、20~30分ごとにカップ1~2杯程度を摂取することが望ましいとされています。

2-8. 熱への順化(順次順応していくこと)の例

作業を行う者が順化していない状態から7日以上かけて熱へのばく露時間を次第に長くすること(ただし、熱へのばく露が中断すると4日後には順化の顕著な喪失が始まり3~4週間後には完全に失われる。)などがあります。