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昨今、労働者派遣法の改正をめぐる議論が活発化していますが、一方では「派遣から請負に切り替える」という声や動きをよく見聞きします。
では、労働者派遣と請負は、法律上どのような違いがあるのでしょうか…。
今回のレポートでは、その点についてまとめてみましたので、あまりご存じないという方は、ぜひ参考にして頂けたらと思います。
注) このレポートは 2010年3月15日現在 の法令に基づき作成されています。
労働者派遣事業とは、派遣元事業主(人材派遣会社など)が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて、この派遣先のために労働に従事させることを業として行うことをいい、一般派遣(登録型)と特定派遣(常用型)があります。
請負とは、労働の結果としての仕事の完成を目的とするもの(民法第632条)ですが、労働者派遣との違いは、請負には、発注者と労働者との間に「指揮命令関係がない」という点にあります。
発注者と労働者との間に指揮命令関係がある場合には、請負形式の契約により行われていても労働者派遣事業に該当し、労働者派遣法の適用を受けます。
ただし、この区分の実際の判断は、必ずしも容易でないことから、この判断を明確に行うことができるように行政通達(昭和61年労働省告示第37号)が定められました。
(昭和61年4月17日労働省告示第37号)
請負の形式による契約であっても、次の各項目に該当しなければ、労働者派遣事業を行う事業主となります。
労働基準法、労働安全衛生法等の労働関係法については、原則として派遣元事業主が雇用主として責任を負いますが、派遣先事業主が責任を負う事項もあります。
従って、請負の形式による契約に基づいていても、労働者派遣と判断される場合には、同様の責任分担となりますのでご注意ください。
上記3.でご紹介した請負としての基準をクリアしていると思っていても、それが法の規定に違反することを免れるため故意に偽装されたものであれば、労働者派遣事業であることを免れることはできないとの規定もあります。
労働者派遣に対する規制が強化されようとしている今、請負に対する正しい知識と理解が必要とされる場面がますます増えていくのではないでしょうか…。
筆者も労働局が行う立入検査に同席した経験がありますが、実際には、タイムカードの管理状況であったり、制服の区別がされているかなど、かなり細かいところまでチェックされたりします。
思わぬところで法違反を問われないよう、十分お気をつけ下さい。
そして、疑問や不安があれば、ぜひ早めにお近くの専門家などへご相談ください。