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今回は、「育児休業」についてレポートします。
ご存知のようにわが国は、少子化問題が叫ばれるようになって久しいのですが、その対策として育児休業制度は法改正を重ねながら拡充が図られています。
つまり、かつて女性労働者は、出産となれば退職し子育てするというのが一般的な姿であったと言えますが、昨今では一定期間の休業後、もとの職場に復帰するという姿が徐々に定着化しはじめています。
企業としても、今までなら逃してきた優秀な人材をつなぎとめることができるというメリットがあります。
しかし、やはり一定期間休業となると、使用従属関係を曖昧にしたり、状況の変化などによって労使間トラブルを発生させやすくしますので、法律ではその辺を厳格に定めています。
今回のレポートでは、最低限知っておきたい規定内容をみなさんにわかりやすくお伝えし、制度の正しい理解と有効活用への一助となれば幸いです。
注) このレポートは 2008年10月5日現在 の法令に基づき作成されています。
育児休業とは、子を養育する労働者が「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成13年制定)に基づいて取得できる休業のことで、昨今では優秀な人材のつなぎとめの観点から、独自の上乗せ規定を設けている場合があります。
育児休業期間中は、勤務の実態に基づき給与は支給されないか、または減額されるのが一般的ですが、それを補うものとして雇用保険から「育児休業基本給付金」や「育児休業者職場復帰給付金」の支給を受けることができます。
育児休業は、法律により定められている労働者の権利ですので、企業に規定が無い場合でも従業員の申し出により休業することは可能であり、問題がある企業に対しては、労働局雇用均等室から指導される場合もあります。
以下、平成17年4月の法改正に基づき制度の内容について説明していきます。
育児休業を取得するには、次の(1)、(2)の条件を満たすことが必要となります。
ちなみに、取得する者の性別や、子が実子であるか養子であるかは問われず、また、家族などで事実上、子の世話が可能な者がいても、それに関係なく取得は可能とされています。
常用労働者(日々雇用される者を除く)が対象となります。また、期間雇用者(実質的に期間の定めのない契約と同じであれば対象となる)については、次の2つの要件を満たす者が対象となります。
育児休業期間は、原則として子が1歳に達するまでとなっており、産後休業期間(出産日の翌日から8週間)は含まれません。
また、次のいずれかの事情がある場合には、1歳6ヶ月まで取得(延長)することができます。
ちなみに、育児休業は配偶者と交替する形で取得することができます。
ただし、1人の子について1回限りしか取得できません。
子の氏名、生年月日、続柄、休業開始日及び終了予定日を明らかにして、1歳までの育児休業はその1ヶ月前、1歳から1歳6ヶ月までの育児休業については、その2週間前までに申し出ます。
育児休業給付は、次の条件をすべて満たした場合に受けることができます。
支払われる育児休業基本給付金の金額は、休業開始時の30%相当額(休業期間中の賃金が休業時の50%を超える場合には、賃金と給付額の合計が休業開始時の80%に達するまで)です。ただし、賃金月額の限度が定められています。
育児休業を終えて職場に復帰した場合には、育児休業者職場復帰給付金が支給され、金額は(休業開始時月額賃金の10% × 育児休業基本金の支給月数)です。(平成19年4月以降に復帰した人は休業開始時月額賃金の20% × 育児休業基本金の支給月数)
育児休業の申出をした者の取扱いなどについては、次のような規定もありますのでご注意ください。
ご覧いただいたように、育児休業は出産後1年間もしくは1年6ヶ月の休業期間が設けられていますが、実際に一番問題となるのは、その後子が3歳に達するまで、もしくは小学校に入るまでの期間についてどのような措置を講じるかだと言えます。
中小企業では、現実的にはなかなか大企業並みの優遇措置を講じることは難しいと思われますが、ここが本当の意味で「優秀な人材のつなぎとめ」に結びつくかどうかの大きな分かれ道となります。
とはいえ、実際に育児休業の対象者が出てこないと実感としてわかない部分もあろうかと思います。
ただ、実際に対象者が出てからでは対応が後手に回ってしまいますので、まずは基本的な仕組みだけは導入しておき、後は状況に合せて随時拡充を図っていくというのが賢いやり方なのかも知れません…。