本社と各事業場の内容が同一である場合は、就業規則や36協定を本社を管轄している労働基準監督署長に一括して届け出ることができます。
ここでいう「本社」とは、いわゆる会社機能を有している事業場のことで、他の複数の事業場の就業規則や36協定について実質的に作成等を一括して行う事業場のことをいいます。
労働基準監督署の調査(臨検)を受ける際は、常時使用労働者10名以上の場合の「就業規則」や「36協定(時間外労働・休日労働に関する協定)」の届出の有無について、必ずといってよいほどチェックされますが、事業場(支店、営業所、工場、店舗など)が増えるとこれらの届出事務が非常に煩雑となります。
そこで今回、厚生労働省から発行されているリーフレットをもとに本社一括届出についてまとめてみましたので、ぜひ業務効率化の参考にして頂ければ幸いです。
<目次>
- 一括届出を行うことができる就業規則、36協定とは?
- 一括届出の方法
- 複数の事業場が同一の労働基準監督署の管轄内にある場合
- 厚労省パンフレット
注) このレポートは 2016年1月5日現在 の法令に基づき作成されています。
1. 一括届出を行うことができる就業規則、36協定とは?
就業規則については、本社と各事業場の内容が同一であるものに限られます。
36協定については、協定事項のうち、「事業の種類」、「事業の名称」、「事業の所在地(電話番号)」、「労働者数」以外の事項が同一であるものについて限られます。
2. 一括届出の方法
2-1. 就業規則(書面による届出を行う場合)について
- 本社を管轄する労働基準監督署長に、本社を含む事業場の数に対応した必要部数の企業規則を届け出ます。
- 各事業場の名称、所在地、所轄労働基準監督署長名を附記する必要がありますので、届出事業場一覧用表を活用されるとよいでしょう。
- 本社の就業規則と各事業場の就業規則は同一の内容であることが必要ですので、届出事業場一覧表の欄外等に「本社の就業規則と同一内容である」旨を、また、就業規則の変更の届出の場合には、これに加えて「変更前の就業規則の内容は本社の就業規則と同一内容である」旨を明記します。
- 労働基準法第90条第1項に定める意見聴取の手続は、一括届出を行う場合でも各事業場ごとに行う必要があります。したがって、各事業場で意見書を作成し、その正本を就業規則に添付する必要があります。
ただし、各事業場の労働者の過半数が単一組織の労働組合に加入している場合であって、各事業場の過半数労働組合の意見が同意見である場合は、労働組合本部の意見書(記名押印のある正本)に「全事業場の過半数労働組合とも同意見である。」旨記載し、当該労働組合本部の意見書の写しを添付する方法も可能です。
2-2. 36協定について
- 本社を管轄とする労働基準監督署長に、本社を含む事業場の数に対応した必要部数の36協定を届け出ます。
- 協定事項のうち、「事業の種類」、「事業の名称」、「事業の所在地(電話番号)」、「労働者数」以外の事項が同一であることが必要です。したがって、協定を締結する労働組合は、各事業場の労働者の過半数で組織された労働組合である必要があります。
- 一括届出に際しては、各事業場の名称、所在地、所轄労働基準監督署長名を明確にするために届出事業場一覧表を活用されるとよいでしょう。
参考までに、東京労働局HP内のフォームを以下にご紹介します。
〔参考〕 36協定の届出事業場一覧表フォーム
3. 複数の事業場が同一の労働基準監督署の管轄内にある場合
複数の事業場が同一の労働基準監督署の管轄内にある場合は、これまでと同様、就業規則と36協定の届出は各事業場の長より上位の使用者が取りまとめて行うことができます。
なお、就業規則の届出については、提出は1部でかまいませんが意見書は各事業場分が必要となります。
4. 厚労省パンフレット
あとがき
就業規則や36協定の本社一括届出は、地域によって多少手続きが異なる場合もありますので、特にはじめて行う際は事前に本社を管轄する労働基準監督署にお問合せされるとよいでしょう…。
https://nakazono-office.net/report/14-20160105就業規則・36協定の本社一括届出