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今回は、2010(H22)年4月からの労働基準法改正に伴い新たに設けられた「代替休暇の仕組み」を導入する際の規定例についてご紹介します。
この仕組みについては、次のいずれかの規模である場合は、当分の間、適用が猶予されますので、まずはご確認ください。
注) このレポートは 2010年3月5日現在 の法令に基づき作成されています。
1ヶ月60時間を超える時間外労働については、法定割増賃率が現行25%から50%に引き上げられることとなりました。
ただし、この引き上げた分の差25%(50%-現行25%)については、労使協定を締結すれば、割増賃金の支払に代えて代替休暇(有給)を付与することができるようになりました。
※ 代替休暇を与えた場合でも現行25%の割増賃金の支払は必要ですのでご注意ください。
では、実際にはどのような労使協定を締結すればよいのか、次にその例をご紹介します。
第1条(対象者及び期間)
代替休暇は、賃金計算期間の初日を起算日とする1ヶ月において、60時間を超える時間外労働を行った者のうち半日以上の代替休暇を取得することが可能な者(以下「代替休暇取得可能労働者」という。)に対して、当該代替休暇取得可能労働者が取得の意向を示した場合に、当該月の末日の翌日から2ヶ月以内に与えられる。
第2条(付与単位)
代替休暇は、半日又は1日単位で与えられる。この場合の半日とは、午前(8:00~12:00)又は午後(13:00~17:00)の4時間のことをいう。
第3条(代替休暇の計算方法)
代替休暇の時間数は、1ヶ月60時間を超える時間外労働時間数に換算率を乗じた時間数とする。この場合において、換算率とは、代替休暇を取得しなかった場合に支払う割増賃金率50%から代替休暇を取得した場合に支払う割増賃金率30%を差し引いた20%とする。また、会社は、労働者が代替休暇を取得した場合、取得した時間数を換算率(20%)で除した時間数についでは、20%の割増賃金の支払を要しない。
第4条(代替休暇の意向確認)
会社は、1ヶ月に60時間を超える時間外労働を行った労働者に対して、当該月の末日の翌日から5日以内に代替休暇取得の意向を確認するものとする。この場合において、5日以内に意向の有無が不明なときは、意向がなかったものとみなす。
第5条(賃金の支払日)
会社は、前条の意向確認の結果、代替休暇取得の意向があった場合には、支払うべき割増賃金額のうち代替休暇に代替される賃金額を除いた部分を、当該時間外労働を行った月に係る賃金支払日に支払うこととする。ただし、当該月の末日の翌日から2ヶ月以内に代替休暇が取得されなかった場合には、残りの割増賃金は代替休暇が取得されないことが確定した月に係る割増賃金支払日に支払うこととする。
第6条(賃金の精算)
会社は、第4条の意向確認の結果、取得の意向がなかった場合には、当該月に行われた時間外労働に係る割増賃金の総額を通常の賃金支払日に支払うこととする。ただし、取得の意向がなかった労働者から当該月の末日の翌日から2ヶ月以内に改めて取得の意向が表明された場合には、会社の承認により、代替休暇を与えることができる。この場合、代替休暇の取得があった月に係る賃金支払日に過払分の賃金を精算するものとする。
この例の場合、45時間を超え60時間までの割増賃金率は、今回の法改正により定められた努力義務により30%と設定となっています。
それでは、もう一つ、労使協定に基づく就業規則の規定例についてご紹介します。
第〇条(代替休暇)
1ヶ月(賃金計算期間)の時間外労働が60時間を超えた従業員に対して、労使協定に基づき、次の各号により代替休暇を与えるものとする。
今回の法改正の主旨は「長時間労働の抑制と労働者の健康確保」にあるとのことです。
不況が長引く中で、企業にとっては負担が増え、また労働時間管理や給与計算が煩雑になることと思われます。
対応についてお困りの際は、お近くの社会保険労務士にご相談されてはいかがでしょうか…。