中薗総合労務事務所

   

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就業規則の基礎知識
労働社会保険レポート!

今回は、企業にとっては「憲法」とも言える就業規則について、その届出義務や記載事項など、知っておきたい基礎知識についてまとめました。

<目次>

  1. 作成・届出義務
  2. 記載事項
  3. 重要判例に基づくルール
  4. 意見書の添付

注) このレポートは 2007年7月6日現在 の法令に基づき作成されています。


1. 作成・届出義務

「常時10人以上」の労働者を使用する使用者には、就業規則の作成、及び届出義務が課せられています。(変更の場合を含む)

注意点

  • 常時10人以上にはパート、日雇い、臨時雇いなども含みます。
  • 就業規則を複数の規則に分割して作成することも可能ですが、その場合にはすべての規則を行政官庁へ届出なければなりません。

2. 記載事項

2-1. 絶対的必要記載事項

絶対的必要記載事項とは、就業規則を作成する際には必ず定めなければならい事項のことで、次の3項目があります。

  • 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、就業時転換に関する事項
  • 賃金(臨時の賃金等は除く)の決定、計算、支払の方法、賃金の締切り、支払の時期、昇給に関する事項
  • 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

2-2. 相対的必要記載事項

相対的必要記載事項とは、その定めをする場合に記載義務が生じるもので、次の8項目があります。

絶対的必要記載事項と違って、必ず定めなければならいというものではありませんが、定めるなら必ず就業規則に記載しなければならないとされています。

  • 退職手当の定め
    ※ 適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算、支払の方法、支払の時期
  • 臨時の賃金等及び最低賃金額の定め
  • 労働者に食費、作業用品等の負担をさせる定め
  • 安全及び衛生に関する定め
  • 職業訓練に関する定め
  • 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定め
  • 表彰及び制裁の定め
  • その他事業場の労働者の全てに適用ある定め

2-3. 任意的記載事項

絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項以外の事項のことで、就業規則には記載しても記載しなくてもよいとされている事項のことです。

例) 就業規則の目的、適用の人的範囲、適用の場所的範囲などに関する事項


3. 重要判例に基づくルール

就業規則については、重要判例が多く出されていますが、それらの判例がもととなって、次のような知っておきたいルールがありますのでご紹介します。

  • 就業規則は合理的な労働条件を定めるものである限り、法的規範性(≒法律と同様の拘束力)がある。
  • 就業規則が拘束力を生ずるためには、労働者に周知させる手続き(事業場への備え付けや社内LANへの掲載など)が必要である。
  • 懲戒権の行使に当っては、就業規則の定めるところによってなし得る。

4. 意見書の添付

就業規則を作成(又は変更)する際は、労働者の過半数で組織する労働組合、労働組合がない場合は労働者の過半数代表者の意見を聞き、就業規則届出の際にその「意見書」を添付しなければなりません。

注意点

  • 意見書には署名又は記名押印が必要。
  • 意見書の添付は、行政官庁の変更命令による場合であっても必要。

あとがき

就業規則の内容については各社各様で、市販の雛型はありますが、実際に使えるかとなると疑問符がつきます。

また、ここ最近は頻繁に法改正が行われていますので、無用な労働トラブルを避ける意味でも、定期的な点検とお近くの専門家へのご相談をおすすめします。