中薗総合労務事務所

   

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平均賃金の計算方法
労働社会保険レポート!

今回は、労働基準法で定められている「平均賃金の計算方法」についてレポートします。

昨今の経済情勢の悪化に伴い、各地で解雇や一時帰休などが実施されていますが、その際には、今回レポートする「平均賃金」を用いて、保障すべき賃金等を計算することがあります。

しかし、実際の計算方法について、あまりご存知でない方も多く、実務の現場でもよくご質問を受けるケースがあります。

そこで、今回は、この計算方法を正しく理解して頂き、後のちトラブルとならないよう、レポートとしてまとめてみました。

なお、今回のレポートは、わかりやすさを優先しているため、平易な表現を使用しています。

厳格な表現を知りたい場合は、労働基準法第12条をご参照ください。

<目次>

  1. 平均賃金とは?
  2. 基本計算式
  3. 起算日
  4. 控除期間
  5. 算定基礎賃金
  6. 最低保障
  7. 特殊な場合の計算

注) このレポートは 2009年2月7日現在 の法令に基づき作成されています。


1. 平均賃金とは?

平均賃金とは、解雇予告手当、休業手当、年次有給休暇中の賃金、災害補償、減給制裁等を計算する場合に用いられる賃金をいいます。


2. 基本計算式

平均賃金 = 直近3ヶ月間の賃金総額 ÷ 直近3ヶ月間の総暦日数


3. 起算日

3-1. 原則

算定すべき事由が発生した日(民法に基づき当日は算入せず、その前日から起算)

〔例1〕 解雇予告手当 → 労働者に解雇の通告をした日
〔例2〕 災害補償 → 死傷の原因たる事故発生日、診断により疾病の発生が確定した日

3-2. 例外

賃金締切日がある場合は、直前の締切日


4. 控除期間

総日数に次の期間が含まれている場合は、総日数から控除します。

  • 業務上の負傷・疾病による休業期間
  • 産前産後の休業期間
  • 使用者の帰責による休業期間
  • 育児休業、介護休業の期間
  • 試用期間(ただし、試用期間中に算定事由が発生した場合は算入)
  • 組合専従等の期間
  • 争議行為による休業期間 等

5. 算定の基礎となる賃金

算定の基礎となる賃金は、算定期間中に支払われた総額となります。
ただし、次のものは算入されませんのでご注意ください。

  • 臨時に支払われた賃金(例:結婚手当)
  • 3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(例:年2回・3回の賞与)
  • 通貨以外の賃金(現物給与)

6. 最低保障

平均賃金の算出に当たっては、次の最低保障が定められています。

6-1. 日給・時間給・出来高払制・請負制の場合

賃金総額 ÷ 労働日数 × 60%

6-2. 賃金の一部が月・週その他一定期間によって定められた場合

その部分の総額 ÷ 総暦日数 + 上記(1)


7. 特殊な場合の計算方法

7-1. 入社後3ヶ月未満の場合

入社後の期間が算定期間となります。

賃金締切日があるときは、直前の締切日から起算しますが、その場合に算定期間が1ヶ月未満となるのであれば、算定事由発生日から起算します。(最低1ヶ月の算定期間が必要。)

7-2. 入社日に算定事由が発生した場合

都道府県労働局長が定めるところによります。(同種の労働者から求められます。)

7-3. 日雇労働者

厚生労働大臣の定めるところによります。(同種の労働者から求められます。)

7-4. その他、通常の方法で算定できない場合

厚生労働大臣の定めるところによります。(控除期間が3ヶ月以上の場合など・・・。)


あとがき

平均賃金の計算は、ルールをきちんと理解すれば、例外的なケースを除き、それほど難しい計算ではないと思われます。

ただし、日頃の労務管理が疎かになっていると、いざという時に、意外と手こずってしまいますので、日頃から正しい賃金計算を行うよう心掛けるとよいでしょう。