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賃金規程のポイント(Q&A)
労働社会保険レポート!

今回は、賃金規程(給与規程)を作成する際の注意点などについてレポートします。

賃金に関する事項は、就業規則における絶対的必要記載事項とされており、必ず定めなければなりません。

ただ、実務的には、賃金に関する事項を就業規則の中に全てまとめて記載するにはボリュームが大きいため、賃金規程として、別に定めるのが一般的です。

賃金規程は、テンプレートなどを見れば、おおよそのイメージは掴めると思われますが、何がポイントなのかは、一見しただけでは理解しづらいものです。

そこで、今回は、Q&A方式でポイントをまとめてみましたので、ぜひ参考にして頂ければ幸いです。

<目次>

  1. 適用範囲について
  2. 賃金の構成と支払い方について
  3. その他

注) このレポートは 2008年5月10日現在 の法令に基づき作成されています。


1. 適用範囲について

Q. パートタイマー、契約社員などは適用範囲から除き、別規程を設けますか?
A. パートタイマーなども含めて1つの賃金規程に定めても、各々の支払条件が区分され明確になっていれば、特に問題ありません。なお、別規程とする場合は、正社員に適用される規程なのか、パートタイマーのものなのかなど、明確にしておく必要があります。

2. 賃金の構成と支払い方について

Q. 基本給、諸手当は、どのような構成にしますか? また、社員の職種や職位などにより違いを設けますか?
A. 基準内賃金(「所定内賃金」ともいいます。)とは、通常の勤務に対して支払われる賃金のことで、基本給や諸手当は、こちらに含まれます。
一方、基準外賃金(「所定外賃金」ともいいます。)とは、通常の勤務以外について支払われる賃金のことで、時間外手当はこちらに含まれます。個々の社員には、会社が定めた賃金体系のうちから該当する賃金要素を組み合わせて支払います。
Q. 賃金の支払形態は、時給、日給、月給又は年俸制のいずれにしますか?
A. それぞれの内容は、次のようになります。
完全月給制
賃金を月単位で決める場合で、原則として不就労日があっても賃金は全額支給されます。
特定の事由について賃金を控除する場合は、事由をあらかじめ定めておかなければなりません。また、入退社月など1ヶ月に満たない月がある場合に日割り計算で支払うならば、その旨を明記しておかなければなりません。
月給日給制
賃金を月単位で決める場合で、不就労日の賃金を日割り計算して控除します。
日給月給制
1日単位で賃金を定め、毎月一回支払います。
時給制
1時間単位で賃金を定め、一般的に1ヶ月の勤務時間によって支払います。
年俸制
1年単位で賃金を定め、支払いは毎月支払います。

3. その他

その他、賃金規程の作成に際しては、様々な取り決めが必要であったり、注意点が存在したりします。

以下は、そのポイントです。

  1. 月給者の場合、欠勤控除、日割支給するのは、どのようなケースですか。
  2. 賃金の計算期間は何日から何日までとしますか。また、支払日は何日ですか。
  3. 賃金は現金で支払いますか、振込みにしますか。
  4. 支払いの際に控除するものがありますか。その方法は適法ですか。
  5. 賃金の計算過程の端数処理は、いずれの段階においても適法ですか。
  6. 基本給、諸手当の支給対象、支給要件は明確ですか。
  7. 基本給、諸手当の計算方法、支給額は明確ですか。
  8. 時間外、深夜、休日の各勤務状況は、適切に把握していますか。
  9. 割増賃金の計算の基礎とする賃金に、漏れや間違いはありませんか。
  10. 割増賃金の計算方法に、誤りはありませんか。
  11. 昇給の時期、対象者、方法は明確ですか。
  12. 賞与は、必ず支払わなければならないという文章になっていませんか。
  13. 賞与はいつ頃、どのような基準で支払いますか。
  14. 賞与の支給対象から除外する者はいませんか。
  15. 不正な受給がないように、社員に注意していますか。
  16. 万一の不正受給に対し、返還する旨の定めはしましたか。

あとがき

いかがでしたでしょうか?

これらは、すべての項目について、すべての会社でチェックすべきであるというものでもなく、会社によっては、あまり関係のない項目も多分に含まれていると思われます。

しかし、賃金は、社員のやる気を引き出したり、会社と社員の信頼関係を築いていくうえで、不明瞭な点や間違いなどがあってはならい最重要事項と言えます。

ということで、念には念を入れてチェックしてみましょう。