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2012(H24)年3月末で税制適格年金制度(通称「適年」)が廃止されます。
それに伴い各企業ともこれまでの積立金(退職金の原資)を他の制度へ移行し始めていますが、多くの中小企業においてはその対応が遅れているのが実情ではないかと感じています。
そもそも退職金制度とはどのようなものなのか、今後の展望を踏まえレポートしてみたいと思います。
注) このレポートは 2007年3月23日現在 の法令に基づき作成されています。
退職金の性格(基礎知識)は、次の通りです。
労働基準法では、就業規則に必ず定めなければならい「絶対的必要記載事項」と、定めた場合には効力が生じる「相対的必要記載事項」等が定められており、退職金については後者(相対的必要記載事項)に当たります。
したがって、法律的には必ず定めなければならないものではありませんが、大手企業を中心に多くの企業が退職金制度を導入したため、退職時に退職金を支払うことは慣行化されてきたという歴史があります。
退職金の不払いは、労働トラブル、労働紛争の中で大きなウェイトを占めるようになってきていると言われています。その際に争点のポイントの一つに退職金制度の意味合い(≒支払う必要性)がよく登場します。退職金制度の意味合いには大きく2つの説があり、押さえておかれるとよいでしょう。
いずれの説をとるにしても、退職金制度はこれまで税制面での優遇措置とあいまって資金面(内部留保による資金調達)で企業経営に貢献してきたと言え、また従業員の帰属意識を高める意味においてもメリットがあったと言えます。
以上のように、これまで退職金制度を導入していることは、企業にいくつかのメリットをもたらしてきましたが、ここへ来て環境は変わってきているという認識が必要となってきました。
これから退職金制度の見直しを検討される企業も数多く存在すると思われますが、その際は「退職金制度そのものを廃止する」というのも選択肢の一つであると思います。
しかし、現実的には廃止は難しく、あくまで見直しを検討されるのであれば、ポイントは次の2点に集約されると筆者は常々唱えていますので、参考にして頂ければ幸いです。
3-1. 退職金の支給額(支給水準や支給カーブ)をどのように設計するか?
3-2. 退職金の原資(元資金)をどのうように確保するのか?
上記3-1.の退職金の支給額については、これまでに使われてきた代表的な手法には、次のようなものがあります。
上記3-2.の退職金の原資については、「適年」が廃止されることを考慮すると、今後は次のような選択肢になると考えられます。
ただし、これらの加入や導入については様々な条件が設定されているケースが多いので、個々に注意が必要です。
以上、述べてきたように、税制適格年金制度の廃止をはじめ、退職金制度を取巻く環境は大きく変わってきました。
退職金制度の問題は、遅かれ早かれ避けることのできない経営課題の一つであると思われますので、安定経営を目指すためには、できるだけ早く対応する必要があるでしょう。