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平成22年4月1日より労働基準法が改正され、36協定(時間外労働・休日労働に関する労使協定)における「特別条項」の書き方も、一部変更されることになりました。
労働時間管理、とりわけ残業管理については、労務管理の中でも重要事項の一つですが、法令等について十分な理解がなされていないがために、労働トラブルが非常に多くなっています。
労働トラブルを未然に防ぐという観点から、今回は、時間外労働の限度基準や36協定における特別条項の正しい作成方法などについてレポートします。
注) このレポートは 2010年4月15日現在 の法令に基づき作成されています。
労働基準法では、労働時間を1日8時間、1週40時間までと定めています。
これを超えて時間外労働を行わせるためには、労使間で36協定(時間外労働・休日労働に関する労使協定)を締結し、これを労働基準監督署に届け出なければなりません。
36協定では、
のそれぞれについて、延長することができる時間を労使で協定しなければなりません。
このうち2.及び3.の延長時間については「時間外労働の限度に関する基準」(平成10年労働省告示第154号)において、限度時間が定められています。
特別条項とは、上記1.の限度時間(「1週間15時間」、「1ヶ月45時間」など)を超えて労働時間を延長しなければならない特別の事情が生じたときに、限度時間を超えて時間外労働を行うことができるようにするためもので、通常の36協定に付記することでその効力が生じます。
「時間外労働の限度に関する基準」では、長時間にわたる時間外労働を抑制するために限度時間を定めていますが、臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わざるを得ない特別の事情が生じた場合に限り、特別条項付きの36協定を締結することによって通常の限度時間を超えて時間外労働をさせることができるようになります。
特別条項付36協定を締結する際は、次の要件を満たさなければなりません。
さらに、平成22年4月1日以降に、特別条項付き協定を締結又は更新する場合には、やはり、次の点に注意しなければなりません。
上記3.で示したポイントを踏まえた特別条項の具体例は、次の通りとなります。
一定期間における延長時間は、1ヶ月45時間とする。ただし、通常の生産量を大幅に超える受注が集中し、特に納期がひっ迫したときは、労使の協議を経て、年6回を限度として、1ヶ月60時間までこれを延長することができる。なお、延長時間が1ヶ月45時間、1年360時間を超えた場合の割増賃金率は30%とする。
次の事業又は業務には、「時間外労働の限度に関する基準」は適用されません。
なお、4.の具体的な指定事業又は業務は、最寄りの労働基準監督署にお問合せ下さい。
今回は、時間外労働の限度基準と、それを超える場合の36協定における特別条項の設け方を中心に解説しましたが、いかがでしたでしょうか…。
労働基準法の改正では、割増賃金率の設定について、月45時間を超え60時間未満の場合は、法定(2割5分以上)を上回るようにとの努力義務が課せられました。
これは、法定割増賃金率の引上げ(月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率の引上げ)と違い、中小企業にも適用されます。
努力義務ということなので、強制ではありませんが、当然、特別条項を設ける場合には注意が必要となってきます。
長時間労働が社会問題化する中で、今後も引き続き法改正が行われるものと推測されます。
経営者や総務人事担当者の皆様は、大きな問題やトラブルが起きないよう、その都度、改正内容を把握し、適正な管理を行うよう心掛けなければならないでしょう。