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今回は、厚生労働省の 賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針 についてレポートします。
賃金不払残業は、いわゆる「サービス残業」のことをいいますが、皆様ご存知のように、残業代(割増賃金)が支払われていないとなると、労働基準法違反となります。
賃金不払残業は、長時間労働や過重労働の温床ともなっており、そのことに起因する労働災害も後を絶ちません。
従業員が心身ともに健康で、持てる能力を十分に発揮できる環境づくりが、企業の健全な成長にもつながります。
本稿でご紹介する指針を念頭に置き、ぜひ労働環境の整備を労使一体となって推進して頂ければ幸いです。
注) このレポートは 2007年11月29日現在 の法令に基づき作成されています。
この指針では、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置等に加え、各企業において、労使が労働時間管理の適正化と賃金不払残業の解消のために講ずべき事項が示されています。
労使は、各々が果たすべき役割を十分に認識するとともに、労働時間管理の適正化と賃金不払残業の解消のために主体的に取り組むことが求められます。
使用者は、労働時間を適正に管理する責務を有しており、賃金不払残業を起こすことのないよう適正に労働時間を管理しなければなりません。
労働組合は、チェック機能を発揮し、主体的に賃金不払残業を解消するために努力するとともに、使用者が講ずる措置に積極的に協力することが求められます。
賃金不払残業の解消を図るための検討については、労使双方がよく話し合い、十分な理解と協力の下に行われることが重要であり、労使が協力して取り組む体制を整備することが望まれます。
(労働時間適正把握基準【下記資料参照】)の遵守
使用者は、労働時間適正把握基準を遵守する必要があるとともに、労働組合も、労働者に対して労働時間適正把握基準を周知することが重要です。
本基準において、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置を具体的に明らかにすることにより、労働時間の適切な管理の促進を図り、もって労働基準法の遵守に資するものとする。
対象となる事業場は、労働基準法のうち労働時間に係る規定(労働基準法第4章)が適用されるすべての事業場です。
対象となる労働者は、いわゆる管理・監督者及びみなし労働時間制が適用される労働者(事業場外労働を行う者にあっては、みなし労働時間制が適用される時間に限る)を除くすべての労働者です。
① | 自己申告制を導入する前に、その対象となる労働者に対して、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。 |
② | 自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施すること。 |
③ | 労働者の労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じないこと。また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。 |
賃金不払残業の背景に、やむを得ないとの労使双方の意識(職場風土)がある場合には、これをなくすための取組を行うことが望まれます。
昨今、残業代を抑えるための苦肉の策として「偽装管理職」が増えています。
管理職にある者には、時間外労働に対する割増賃金を支払う必要がないため、十分な権限も与えられていないにもかかわらず、名ばかり管理職として、残業代のつかない長時間労働を強いているのです。
経営者は、労働時間管理に、この「労働時間適正把握基準」を取り入れるに際し、使用者と労働者の線引きについて今一度、見直す必要があるかも知れません…。
理屈はわかるが、具体的にどのように改善すればよいかわからないという場合は、問題が起きる前に、ぜひお近くの専門家へご相談ください。