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労働契約法のポイント(H20・H25)
労働社会保険レポート!

このレポートは、2008(H20)年6月に、初稿を作成いたしました。

その後、2013(H25)年に大きな法改正がありましたので、その概要を追加掲載します。

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~ 以下は、初稿の内容です ~

皆様ご存知のように、昨今、労働関係紛争は増加の一途をたどっています。

にもかかわらず、これまでは紛争解決のためのルールをまとめた法律が存在していませんでした。

その都度、労使間において裁判等で争われ、決着してきたというのが実情です。

そこで、過去の裁判等で蓄積された一定の判断基準をまとめる形で「労働契約法」が制定され、ようやく紛争解決のためのルールが整備されたのです。

労働契約法は、全19条からなる法律で、条文数としては決して多くはありませんが、この先、労働関係紛争が起きた際には、その解決に向けた一定の判断基準を示す、重要な法律になってくると思われます。

したがって、経営者・人事労務担当者の皆様は、十分理解しておく必要があります。

本レポートは、主に条文の流れに沿って、特に重要と思われるポイントを中心に解説を試みましたので、ぜひ参考にして下さい。

<目次>

  1. 総則におけるポイント
  2. 労働契約の成立及び変更におけるポイント
  3. 労働契約の継続及び終了におけるポイント
  4. 期間の定めのある労働契約におけるポイント

注) このレポートは 2008年6月8日現在 の法令に基づき作成されています。


1. 総則におけるポイント

まず、「第1章 総則」におけるポイントについて、3つ解説します。

1-1. 労働契約法における「労働者」とは?(第2条第1項)

条文の内容は、『この法律において「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう。』とされており、つまり、使用者の指揮命令下で働き、その対価として賃金を受ける場合は「労働者」とみなされることになります。

したがって、外形的には「請負」、「委任」などの形をとっていたとしても、実態が使用者の指揮命令下で働き、その対価として賃金を受けているような場合は、「労働者」と判断されることになります。

1-2. 労働契約の内容についての書面の作成(第4条第2項)

労働契約法においては、労働契約は労使間の「合意」によって成立するという合意原則の立場をとっています。

したがって、労働契約書などの書面がなかったとしても契約自体は成立するわけですが、その内容が書面に残っていない(いわゆる口約束である)ために、後に紛争に発展してしまうケースがあります。

そこで、本法律では、『できる限り書面により確認するものとする。』という努力義務を課しています。

1-3. 労働者への安全配慮義務(第5条)

使用者が労働者に対する安全配慮義務を怠ったがために、後日、過労死などの労災認定の問題にまで発展してしまうケースがあります。

そこで、本法律では、『使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。』という、使用者の安全配慮義務を明文化しています。


2. 労働契約の成立及び変更におけるポイント

ここは、本法律における核心的部分であるといえ、重要ポイントとして3つあります。

2-1. 労働契約の成立(第6条・第7条)

既述のように、本法律における労働契約成立に関する基本的な考え方は、第6条において「合意原則」が示されており、たとえ労働契約書などの書面がなかったとしても、契約自体は成立するものとされています。

さらに、第7条においては、『(…前略)使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。』とされており、つまり、労働契約は個別に定めていなくても、就業規則が合理的な内容であり、労働者にきちんと周知されていれば、その就業規則によって包括できるというようになっています。

ただし、就業規則の内容を下回らない範囲で、個別に合意した部分については、そちらが優先されることになります。

2-2. 労働契約の内容の変更(第8条)

本法律では、労働契約を変更する場合においても「合意原則」の立場をとっており、基本的には、労使間の合意がなければ変更が許されないとされています。

2-3. 就業規則による労働契約の内容の変更(第9条・第10条)

就業規則を変更することによって、労働契約の内容である労働条件を変更する場合(不利益に変更する場合を含む)においても、やはり、基本的には労使間の「合意」が必要であるとされています。

なお、使用者が変更後の就業規則を労働者に周知し、かつその内容が、

  1. 労働者の受ける不利益の程度
  2. 労働条件の変更の必要性
  3. 変更後の就業規則の内容の相当性
  4. 労働組合等との交渉の状況
  5. その他の就業規則の変更に係る事情

に照らして「合理的」なものであるときは、不利益な変更であっても許される場合があります。

かつては、ここが裁判等でもよく争われていたところですが、これまでの裁判例の考え方が法律に反映(明文化)されることとなりました。

なお、合理的なものであるか否かの立証責任(説明責任)は、使用者側にあります。


3. 労働契約の継続及び終了におけるポイント

ここでのポイントも、3つ挙げられます。

3-1. 出向(第14条)

ここでいう出向とは、いわゆる「在籍型」の出向を指しているのですが、その出向命令が、

  1. 必要性
  2. 対象労働者の選定に係る事情
  3. その他の事情

に照らして、その権利を濫用(らんよう)したものと認められる場合には無効とするとされていますのでご注意ください。

3-2. 懲戒(第15条)

就業規則において、「懲戒」について定めている企業は多いと思われますが、懲戒しようとする労働者の行為の性質や態様等を判断して、客観的に合理的な理由を欠き、かつ社会的に見ても相当であるとは言えないような場合は、その懲戒は無効とされることがあります。

3-3. 解雇(第16条)

解雇においても懲戒と同様に、客観的に合理的な理由を欠き、かつ社会的に見ても相当であるとは言えないような場合は、権利の濫用ということで無効になることがあります。

ちなみに、この内容は、以前は労働基準法において定められていたものが承継されています。


4. 期間の定めのある労働契約におけるポイント

ここは、条文が第17条の一つしかありませんので、その内容を見ておきます。

まず、当然のことですが、使用者は労働契約において期間を定めたときは、やむを得ない場合でなければ、その契約期間が満了するまでは労働者を解雇することができません。

また、契約期間を定める場合においても『労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。』という配慮義務が課せられました。


あとがき

この法律には、労働紛争の発生を防止しようとの主旨があります。

したがって、使用者が、労働者に不利なことを一方的に決めてしまうのを阻止しようとの色合いが濃くなっています。

しかし、一方では使用者側にも保護されるべき権利があり、例えば、就業規則の不利益変更等についても「合理的な理由がある場合には許される」といった側面もあります。

いずれにしても、たびたび出てきた合理的な理由についての判断は、ケース・バイ・ケースとなりますので、判断に苦しむ場合は、所轄官庁やお近くの専門家に相談されるとよいでしょう。


       


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