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労働条件の明示義務
労働社会保険レポート!

今回は、「労働条件の明示義務」についてレポートします。

平成20年4月以降は、パートタイマーについても労働条件の明示義務が強化されましたが、その辺に関して、根拠法である労働基準法第15条では、どのように規定されているのか見ておきたいと思います。

また、労働条件は、単に明示すればよいというものではなく、明示事項には細かなルールが存在しますので、合わせて確認していきます。

なお、明示義務を怠った場合は、罰則(30万円以下の罰金)の定めがありますので、事業主はご注意ください。

<目次>

  1. 労働基準法第15条の内容
  2. 絶対的明示事項
  3. 相対的明示事項
  4. その他の注意点

注) このレポートは 2007年8月2日現在 の法令に基づき作成されています。


1. 労働基準法第15条の内容

現行では、以下のように規定されています。まずは、しっかり基本を押さえておきましょう。

  1. 使用者は労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合、賃金及び労働時間その他厚生労働省令で定める事項については、労働者に書面を交付することにより明示しなければならない。
  2. 明示された労働条件が事実と相違する場合は、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
  3. 就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は必要な旅費を負担しなければならない。
<補足>

明示方法は、賃金(昇給を除く)、労働時間その他厚生労働省令で定める事項以外は、書面でも口頭でもよいとされています。



2. 絶対的明示事項

次に、明示が義務づけられている事項について列記します。これらは、必ず明示しなければなりません。

  • 労働契約の期間
  • 就業の場所、従事すべき業務
  • 始業・終業の時刻、残業の有無、休憩時間、休日・休暇、就業転換
  • 賃金の決定、計算、支払方法、締め日、支払時期、昇給(退職手当、臨時の賃金、賞与等は除く)
  • 退職(解雇の理由含む)

3. 相対的明示事項

相対的明示事項は、はじめから明示が義務づけられているわけではありませんが、明示してこそ効力が生じるものですので、これらを取り決めるのであれば、必ず明示するようにしましょう。

  • 退職手当
  • 臨時の賃金、賞与等
  • 労働者に負担させる食費、作業用品
  • 安全及び衛生
  • 職業訓練
  • 災害補償、業務外の傷病扶助
  • 表彰及び制裁
  • 休職

4. その他の注意点

最後に、その他の注意点として、3つ挙げておきます。

4-1. 労働条件を明示したこととなる場合

その労働者に適用される部分を明らかにした就業規則を交付したうえで、以下の事項について書面を交付した場合は、労働条件を明示したこととなります。(「就業規則+書面」の交付による明示でOK!)

  • 労働契約の期間
  • 就業の場所
  • 従事すべき業務
  • 残業の有無

4-2. 派遣労働者の場合

派遣労働者に対する労働条件の明示義務は、派遣元 にあるとされています。

4-3. パートタイマーの場合

パートタイマー(短時間労働者)も労働基準法でいう労働者であるため、書面による明示義務がある事項については、同じように書面で明示しなければならないとされています。


あとがき

労働トラブルでよく問題となるのが、労働契約の内容です。

労働契約をきちんと結んでさえいれば、トラブルを防げたのではないか? といったケースに、よく遭遇します。

わが国は、シビアな契約社会となっていない分、本来は、重要であるはずの契約であっても、簡単な口約束で済ませてしまうことがあります。

問題が起こってから、契約書の大切さに気づいても遅いのです。

法律で定められているから書面にするということではなく、「安心して働ける職場づくり」のために必要なのです。

無用な労働トラブルを回避するためにも、是非この機会に整備して頂ければと幸いです。