兵庫県尼崎市西立花町3-4-1 パークビル201
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事務所通信「月刊 人とみらい」2018年4月号より抜粋してご紹介します。
A社の取締役Xは、工場での作業中に負傷し、健康保険証を用いて病院で治療を受けました。
その後、労災保険の療養補償給付を請求しましたが、役員であるために不支給となり、さらには社会保険事務所(現年金事務所)も、業務中の負傷であることを理由に療養の給付(自己負担分以外の治療費を健康保険協会や組合が負担すること)を不支給とし、自己負担分以外の治療費の返還を命じました。
Xは処分の取り消しを求めて提訴しました。
Xの請求は棄却され、全額自己負担で治療を受けざるをえなくなりました。
健康保険法では、療養の給付は業務外の事由による疾病・負傷を対象としており、業務中の負傷は給付対象外だからです。
また、労災保険法では、経営者をはじめとする取締役等を給付対象外としています。
社長であっても役員であっても、業務中に負傷をすることはあります。
仮に入院が必要となるような大けがでも役員には労災保険は適用されず、健康保険も使えません。
この「保険給付の谷間」は、しばしば問題となっています。
谷間をなくす方法としては、
① 民間保険に加入する
② 特別加入の手続きを行う
の2つが考えられます。
手続きが簡単なのは民間保険ですが、特別加入は一般の労災保険同様、補償が手厚いというメリットがあります。
業務災害が起きてしまってから後悔しないよう、特別加入の手続きをお勧めします。(手続き方法は、訪問担当者にお尋ねください)
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取締役 吉松 正人
(社会保険労務士)