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事務所通信「月刊 人とみらい」2017年8月号より抜粋してご紹介します。
原告であるAさんとBさんは、N社の姫路工場に現地採用され、「ギフトボックス係」に勤務していました。
後にN社はギフトボックス係の廃止を決定し、AさんとBさんに県外への転勤か退職を選択するよう通知。
Aさんは妻が病気療養中で介護の必要があり、またBさんも実母を介護中のため、転勤でも退職でもなく、姫路工場での継続勤務を希望しました。
しかしN社はこれを認めず、A・B両者は転勤命令の効力停止等の仮処分を申請しました。
就業規則や雇用契約書によりN社が配置転換を行う権限を有していること、また、今回の転勤命令が経営合理化のための必要措置であることは認めましたが、A・B両者は転勤が困難な事情を抱えており、転勤によって家族の状況が悪化する可能性を指摘しました。
こうした事情を会社が十分に配慮したとは言い難く、配置転換命令によってA・B両者が受ける不利益は通常甘受すべき程度を著しく超えていることから、権利の濫用により無効であるとしました。
労使ともに「会社の転勤命令には逆らえない」との認識がありますが、配置転換や転勤を決める際には、従業員やその家族の事情に十分に配慮する必要があります。
「育児・介護休業法 第26条」にも「就業場所の変更により、子の養育や家族の介護を行うことが困難となる労働者には、その状況に配慮しなければならない」といった意の条文があります。
配置転換・転勤の人選には十分注意する必要があります。
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取締役 吉松 正人
(社会保険労務士)