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事務所通信「月刊 人とみらい」2017年6月号より抜粋してご紹介します。
原告らが運転手として勤務していた観光バス会社A社は、経営不振により同業他社B社に買収されました。
その後、B社は就業規則を変更し、A社で適用されていた年功序列型賃金制度を廃止し、新たに成果主義型賃金制度を導入しました。
それにより、著しく賃金が減額した原告らは賃金減額相当分等の支払いを求めて提訴しました。
成果主義型賃金制度を導入する必要性は認められたものの、直ちに新賃金制度を導入しなければならないほど差し迫った経営状況とは認められませんでした。
また、原告らの受けた不利益の程度が大きく、不利益を緩和するための経過措置もなかったことから、新賃金制度の導入は合理的ではないと結論付けられ、原告の請求を認めました。
労働条件を不利益に変更するためには、原則として個々の労働者の同意が必要です(労働契約法第9条)。
ただし、不利益の程度や変更の必要性、内容の相当性や労働組合との交渉の経緯などが合理的と認められる場合はこの限りではない、ともされています(同法10条)。
不利益変更にあたっては、変更内容が合理的であるか、労働者が受ける不利益の程度が著しくないかを勘案し、また、労働者との合意や周知の機会を十分に持ったうえで慎重に行うことが重要です。
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取締役 吉松 正人
(社会保険労務士)