ニュース&コメント
昨日、今日と賃上げに関する記事が掲載されていましたので、今日はその辺を取り上げてみました。
まずは、日本商工会議所が2014年度以降3ヶ月ごとに実施している調査結果に関する記事で、賃上げを行う中小企業の割合が減っているというものです。
記事によると、調査対象は全国の約3千社で、賃上げを「見送る23.6%」、「未定20.8%」となっており、その主な理由として、次のような経営者の声が掲載されています。
- 売り上げが伸び悩んでいるため難しい
- 人材確保のため何とかしたいが、賃上げの余裕はそれほどない
そして、次の記事は経団連の調査結果で、せっかく賃上げを行ってもその半分は社会保険料の負担増で打ち消されているというものです。
つまり、経団連では2014年度の年収ベースの平均給与額は2年前に比べて11万円強増えた一方、保険料負担も5万円強増加しているので、実質的な手取額の増加は6万2千円にとどまったと分析しているのです。
これらに関して少し述べると、企業が賃金を決定する際の重要な判断要素としては、大きく次の3つがあります。
- 労働の対価としての相当性(割に合っているか?)
- 世間相場
- 当該企業の賃金支払能力
確かに、人口減少による人手不足の懸念が強まる中で、優秀な人材を獲得し、確保し続けるためには賃金は高いに越したことはありません。
ただ、上記3. を軽視してしまうと、いずれ経営がおかしくなるのは明白です。
この2年程は、アベノミクスによる賃上げ要請、株価や、それに伴う企業業績の改善の流れを受けて、こぞって賃上げに向かっていましたが、改めてその辺は冷静に判断しなければならない時期が来ていることを今日の記事は物語っているのではないでしょうか…。
以前、地元で中小トップクラスの企業の社長様が話されていたのですが、中小企業は従業員のモチベーションを維持するために大きな賃上げは無理でも毎年継続して上げていかなければならない。
また、新聞等では大企業の大きな賃上げが話題性もあり取り上げられるが、毎年そんなことを続けていっているわけではないので、中小企業は同じように考えてはいけないとも言っておられました。
まさに的を射た、冷静で的確な考え方だと思います。
つまりは、賃上げについては一律的なこれが正しいという正解はありません。
自社の現状と将来を見据えながら各々が冷静に、的確に判断していかなければならないものだと改めて考えさせられました。
近況など
あらためまして、こんにちは
特定社会保険労務士の中薗です。
今日は早くも「成人の日」を迎えましたね。
(新成人となられた方、おめでとうございます!)
さて今年は、事務所全体としては4日から通常営業しているのですが、実は私とスタッフ数名は、ここ数年1月2日から業務を開始しています。
で、私の場合は、実質的にゆっくり休めたのは元旦だけだったので、この連休に入るまでは毎日が恐ろしく長く感じました。
今、事務所としては年末調整関連の業務が最終局面に差し掛かってきていますが、私の方は、それらの傍らで3月決算をむかえる企業様の新年度(4月)から実施や改定される人事制度のコンサルティング業務が佳境に入ってきています。
今日取り上げたニュースのように、賃金施策は各企業にとって非常に難しくなってきているのですが、ここからはこれらの業務を進めていくと、あっという間に時が過ぎていくのでしょうね。
小休止はとりつつも、各社の人事制度のことが頭から離れずプレッシャーを感じる今日この頃です…。