教育訓練給付制度とは

労働力人口が減少する中、昨今、リスキリング(学び直し)に関する制度を充実させて雇用の促進を図ろうとの動きがあります。

ただ、このリスキリングについては、20数年前(1998年12月)に雇用保険に加入している従業員向けに教育訓練給付制度が創設されており、これまでにもたびたび拡充が図られてきました。

従業員の離職防止策として、事業主が従業員に資格取得費用を貸し付け、一定期間勤続すれば返済を免除するといった取り組みを行うケースも散見されますが、こうした貸し付けを行う前に、従業員にはまず公的制度の利用を勧めるのが定石かも知れません・・・。

そこで、今回は教育訓練給付制度の概要についてご紹介しますので、ぜひご参考にして頂ければ幸いです。


教育訓練給付制度は、厚生労働大臣が指定する教育訓練( https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/ jump で検索可能)を修了した際に、従業員に対して直接、その受講費用の一部が支給されるもので、給付金の支給対象となる教育訓練はそのレベル等に応じて次の3種類があります。

1. 専門実践教育訓練

  • 中長期的キャリア形成に資する教育訓練が対象。
  • 受講費用の50%(年間上限40万円)が訓練受講中6ヶ月ごとに支給されます。
  • 資格取得等をし、かつ訓練修了後1年以内に雇用保険被保険者として雇用された場合は、受講費用の20%(年間上限16万円)が追加で支給されます。
  • なお、失業状態にある方が初めて専門実践教育訓練(通信制、夜間制を除く)を受講する場合、受講開始時に45歳未満であるなど一定の要件を満たせば、別途、教育訓練支援給付金が支給されます。

2. 特定一般教育訓練

  • 労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練が対象。
  • 受講費用の40%(上限20万円)が訓練修了後に支給されます。

3. 一般教育訓練

  • その他の雇用の安定・就職の促進に資する教育訓練が対象。
  • 受講費用の20%(上限10万円)が訓練修了後に支給されます。


その他受給要件等は、厚生労働省パンフレットにてご確認ください。

教育訓練給付制度のご案内



職業別求人・求職賃金情報(2023年7月版)

ハローワーク尼崎より毎月発行されている求人・求職賃金情報を2023年7月内容(最新版)を掲載しました。

弊所では、お客様より「いくらで求人を出すべきか?」とのご相談をよくお受けしますが、そのような時に参考になるのが下記のデータです。

求人賃金をはじめとして、求職者の希望賃金や有効求人倍率まで職種別に生の情報が網羅されていますので、参考資料として欠かせません。

データは、「常用フルタイム=正社員用」と「常用パート=パートタイマー用」に分かれておりますので、必要に応じてご活用ください。


1. 正社員用

2023年7月賃金情報(正社員用)


2. パートタイマー用

2023年7月賃金情報(パート用)




自主的な勉強会等は労働時間か?

従業員が所定労働時間外に行う自主的な勉強会等が労働時間に当たるかどうかは、よくご相談をお受けする事項であり、非常に悩ましい問題と言えます。そこで今回は、その判断基準について、労働時間の基本的な考え方と合わせてご紹介させて頂きます。


1. 労働時間・休憩時間とは?

  • 労働時間 → 使用者(会社)の指揮命令下に置かれている時間
  • 休憩時間 → 労働から離れることを保障されている時間(6時間超→45分、8時間超→60分)

例えば、手待ち等の拘束時間、昼休みの強制的な来客当番等は、労働から離れることを保障されておらず、使用者(会社)の指揮命令下に置かれている時間と考えられますので労働時間に当たり、着替え、後片づけなどの労働に付随する時間も労働時間に当たるとされています。


2. 自主的な活動について

いくら従業員が所定労働時間外に、自主的に行う活動(例:勉強会等)といっても、その内容によっては労働時間として取り扱わなければならないケースがあります。労働時間に当たるかどうかは次の3つの基準(観点)から総合的に判断されますのでご留意ください。

(1)場所的拘束性

会社施設内で自主的な勉強会等が行われる場合は、場所的な拘束性があり、黙示に参加を強要していると捉えられやすくなりますので注意が必要です。

(2)業務との関連性

業務との関連性が強ければ当然、労働時間となる可能性が高まります。例えば、売上や顧客拡大につながるような企画への取組み等は業務との関連性があると判断されやすくなるでしょう。

(3)義務づけの程度

勉強会等への参加について明確な指示がない場合であっても、例えば、次のような実態があれば、それは自主的な活動とは言えず強制参加、つまり労働時間と考えられますのでご注意ください。

  1. 参加の有無が直接的・間接的に人事考課の対象となっている。
  2. 人事(昇進・昇格等)において参加者が優遇されたり、多少なりとも影響や配慮されている。
  3. 不参加者に制裁等の不利益な取り扱いがある。