中薗総合労務事務所

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年度更新Ⅰ
労働社会保険レポート!

中薗総合労務事務所がお届けする労働・社会保険関連の 実務レポート100選 です。
※ 各レポートは、作成日(又は改訂日)現在の法令に基づき作成されていますのでご注意ください。

今週ようやく雇用保険法の改正案(雇用保険料の引下げなど)が国会で可決されました。

改正法は、本年4月1日遡って施行されますが、労働保険料の申告・納付期限(例年5月20日まで)は、6月までの延期が検討される方針とのことです。申告・納付期限に関する情報には十分ご注意ください。

さて、今回のレポートでは、労働保険の概算・確定申告書を作成する際の注意点として、そのもととなる「確定保険料算定基礎賃金集計表」の作成上の注意点についてまとめてみました。

実務上、この集計表が最終的に申告書の基礎データとなりますので、まずはこの集計表を正確に作成することが求められます。

都道府県労働局から配布されてくるパンフレットを見ると、作成の際の注意点が詳細にわたって列記されていますが、このレポートではさらに実務者の立場にたって、特に注意が必要と思われるポイントに絞って記述してみましたので、ぜひ参考にして下さい。

≪目次≫

  1. 労災保険
  2. 雇用保険
  3. 賃金総額

注) このレポートは 2007年4月20日現在 の法令に基づき作成されています。


1. 労災保険

(1) 常用労働者についての注意点

常用労働者のカウントに当たっては、特に出向者と海外派遣者がいる場合に注意が必要です。具体的には次の通りです。

a. 出向者

ここでいう出向者とは、出向先の組織に所属し、出向先の事業主の指揮監督を受けている方を指します。その場合は「出向先」で適用されます。

b. 海外派遣者

海外の事業場に所属し、その事業の使用者の指揮に従って勤務されている方は、海外派遣者として適用されません。(原則、派遣された国の法制度が適用されます。)ただし、特別加入制度を利用すれば、国内で給付が受けられるようになります。

(2) 役員についての注意点

原則として申告制となっており、役員といえども、勤務実態が他の労働者と比較しても労働者と呼べるような勤務状態であれば、労働者として申告することができます。

最終的には、労働者としての取扱の可否は行政判断で決定されますので、迷われる場合は労働基準監督署等にご相談されることをおすすめします。

(3) 臨時労働者(パート・アルバイト)についての注意点

労災保険については、パート・アルバイトであっても適用を受けます。

ただし、各月の賃金締切日ごとに在籍しているパート・アルバイトの方の賃金のみ総額に算入することになりますので、各賃金締切日前に離職された方の分は、その月分はカウントしないという点に注意が必要です。


2. 雇用保険

(1) 被保険者についての注意点

雇用保険の場合は、まず被保険者であるか否かが、対象者としてカウントするかどうかのポイントとなります。注意点は次の通りです。

a. 出向者

出向元と出向先のように、同時に2つ以上の雇用関係にある労働者は、生計を維持するのに必要な、主たる賃金を受ける方の被保険者となります。

その場合は、主たる賃金を受ける方の賃金のみで計算して下さい。

b. 海外派遣者

海外の事業場に現地で採用された方は、被保険者とはなれません。

(2) 高年齢労働者についての注意点

雇用保険の場合は、保険年度の初日(4月1日)において満64歳以上の方は、雇用保険料の免除対象者となります。

ただし、次の点にご注意ください。

  1. 任意加入による高年齢継続被保険者、短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者の方は、免除の対象とはなりません。
  2. 労災保険料については免除されません。

3. 賃金総額

労災保険、雇用保険のそれぞれカウントすべき労働者がわかれば、次にどのような賃金を計算に算入するかが押さえておくべきポイントとなります。

次の例をご参照ください。

(1) 賃金総額に算入するもの(例)

  • 基本給、固定給等基本賃金
  • 超過勤務手当、深夜手当、休日手当等(いわゆる残業手当の類)
  • 扶養手当、子供手当、家族手当等
  • 宿・日直手当
  • 役職手当、管理職手当等
  • 地域手当
  • 住宅手当
  • 教育手当
  • 単身赴任手当
  • 技能手当
  • 特殊作業手当
  • 奨励手当
  • 物価手当
  • 調整手当
  • 賞与
  • 通勤手当
  • 定期券、回数券等
  • 休業手当
  • 社会保険料(労働者負担分を事業主が負担する場合)
  • 住居の利益(社宅等を貸与する場合に、貸与を受けない社員に対して均衡上住宅手当を支給する場合)
  • 前払い退職金

(2) 賃金総額に算入されないもの(例)

  • 休業補償費
  • 結婚祝金
  • 死亡弔慰金
  • 災害見舞金
  • 増資記念品代
  • 私傷病見舞金
  • 解雇予告手当(労基法第20条に基づくもの)
  • 年功慰労金
  • 出張旅費、宿泊費等(実費弁償的なもの)
  • 制服
  • 生命保険の掛金(会社が全額負担するもの)
  • 財産形成貯蓄奨励金等
  • 創立記念日等の祝金(恩恵的なものでなく、全社員または多数の社員に支給される場合は除かれます)
  • チップ(奉仕料の配分として事業主から受けるものは除かれます)
  • 住居の利益(一部の社員に社宅等の貸与を行っているが、他の社員に均衡給与が支給されない場合)
  • 退職金(退職時に支払われるもの、事業主の都合等により退職前に一時金として支払われるもの)

以上、手当の名称等が異なる場合があるかもわかりませんが、その場合は類推して判断がなされますので、迷われる場合はお近くの労働基準監督署又はハローワーク、社会保険労務士等へお問合せ頂くことをおすすめします。


あとがき

平成19年度の労働保険料の年度更新事務については、もう一つ大きな改正点として「石綿(アスベスト)健康被害救済のための一般拠出金」についてお伝えしなければなりません。

これについては「年度更新Ⅱ(一般拠出金)」を配信する予定にしておりますので、そちらをご覧ください。


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