中薗総合労務事務所

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雇用保険法の改正(H22)
労働社会保険レポート!

2010(H22)年4月1日より雇用保険法が改正され、改正後3ヵ月程経過しましたが、今回のレポートでは、あらためて改正のポイントを整理してみました。

今回の法改正は、「雇用保険制度安定運営に向けた財政状況の立て直し」と「非正規労働者に対するセーフティネットの強化」が目的とされています。

これらを踏まえ、どこがどのように変わったのかをご紹介したいと思いますので、ぜひ参考にして頂ければ幸いです。

≪目次≫

  1. 雇用保険料率の変更
  2. 被保険者の適用範囲拡大
  3. 遡及期間の変更
  4. 資格取得時の事務処理簡素化

注) このレポートは 2010年7月5日現在 の法令に基づき作成されています。


1. 雇用保険料率の変更

改正前
11.0/1000 (事業主7.0/1000、労働者4.0/1000)
改正後
15.5/1000 (事業主9.5/1000、労働者6.0/1000)

したがって、労働保険料の年度更新については平成21年度確定保険料の計算には1,000分の11.0を使い、平成22年度概算保険料の計算には1,000分の15.5を使います。

なお、事業主負担分が労働者負担分より高くなっているのは、9.5/1000のうち3.5/1000が助成金の資金等に充てられているからです。


2. 被保険者の適用範囲拡大

改正前
6ヵ月以上の雇用見込 + 週所定労働時間20時間以上
改正後
31日以上の雇用見込 + 週所定労働時間20時間以上
(週所定労働時間が20時間以上であることは変わっていません。)

この適用拡大により雇用見込の期間が31日まで短くなり、以前に比べてより多くの短時間労働者(パート・アルバイトなど)の非正規労働者が雇用保険の適用対象となることになりました。

〔参考〕 31日以上の雇用見込みとは?

  1. 31日以上雇用が継続しないことが明確な場合を除き、この要件に該当することとなります。
  2. 次のような場合には、雇用契約期間が31日未満であっても原則として31日以上の雇用が見込まれるものとして雇用保険が適用されることとなります。
    ① 雇用契約に更新する場合がある旨の規定があり31日未満での雇止めの明示がないとき
    ② 雇用契約に更新規定はないが、同様の雇用契約により31日以上雇用された実績があるとき

〔注意〕

今回の法改正により雇用保険に加入するのに必要な雇用見込期間は短縮されましたが、失業した際に支給される基本手当の受給資格要件(一般の受給資格者の場合:離職日以前2年間に被保険者期間が12ヵ月以上あること、特定受給資格者及び特定理由資格者の場合:離職日以前1年間に被保険者期間が通算して6ヵ月以上あること)は短縮されたわけではありませんのでご注意ください。


3. 遡及期間の変更

改正前
遡及期間最大2年
改正後
2年を超えて遡及可能

雇用保険の対象となる労働者を雇い入れた場合は、翌月10日までに「雇用保険被保険者資格取得届」をハローワークに届け出なければなりませんが、事業主がこの届出を怠っていた場合は、2年を超えて遡及適用できるようになりました。(改正前は最大2年前まで)

なお、2年を超えて遡及適用するのは、事業主から雇用保険料を控除されていたことが給与明細等の書類により確認された者とされています。


4. 資格取得時の事務処理簡素化

被保険者の適用範囲拡大(上記2.参照)に伴う事務処理負担の増大を考慮して、本年4月1日より「被保険者資格取得届」の提出に当たっては、原則として添付書類は不要となりました。

ただし、次のいずれかに該当する場合は除かれます(添付書類が必要です)のでご注意ください。

  • 事業主として初めて被保険者資格取得届を行う場合
  • 被保険者資格取得届について届出期限を過ぎて提出する場合
  • 過去3年間に事業主の届出に起因する不正受給があった場合
  • 労働保険料の納付の状況が著しく不適切である場合 など

あとがき

長引く不況の影響で失業者が増加したことにより、今般、雇用保険料が引き上げられる形となりましたが、これは見方を変えるとリーマンショック以前の水準に戻ったと言えます。

リーマンショック直後は企業の資金繰り悪化への配慮から、一旦保険料が引き下げられることとなりましたが、それでは今度は失業給付の増加により雇用保険制度の財政が苦しいということで、保険料を「元に戻す」という措置が取られたことになります。

ですので、今後も景気や失業者の動向によって随時変更されることが予測されますので引き続きご注意して頂く必要があると思います。

それと、格差社会が社会問題化する中で、非正規労働者のセーフティネットの強化についてもその必要性が叫ばれるようになりました。

今回の法改正(特に上述の2.及び3.)は、その流れを受けて行われたと言えます。

企業によっては、これまでパートタイマーやアルバイト等の短時間労働者については、雇用保険は適用しないということが慣習化してきたものと思われますが、今回の法改正を受けて、安易に今まで通りというわけにはいかなくなりました。

しかも、これまでは手続漏れがあったとしても最大2年間遡及して加入すればよかったのですが、これが状況によっては、そのしばりが撤廃されましたので、手続漏れについてより気を配らざるを得なくなりました。

納得できないという事業主がいらっしゃるとは存じますが、だからといって対応が遅れてしまうと、後で大きな問題となってしまう可能性があります。

ですので、対応が遅れている場合は、ぜひ早めに対応されることをおすすめします。