中薗総合労務事務所

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障害者雇用納付金(H22)
労働社会保険レポート!

2010(H22)年7月1日より障害者雇用促進法が改正され、これにより障害者雇用納付金制度も改定されることとなりました。

障害者雇用納付金制度とは、法定の障害者雇用率を満たしていない事業所は納付金を支払わなければならないとされている制度のことですが、中小企業において障害者の雇用状況の改善が遅れていることから、この度の法改正(制度の改定)が行われることとなりました。

今回のレポートでは、中小企業が押さえておきたい改定のポイントについてまとめてみましたので、ぜひ参考にして頂ければと思います。

≪目次≫

  1. 障害者雇用促進法の概要
  2. 改正点① : 納付金制度の対象範囲拡大
  3. 改正点② : 納付金の減額特例
  4. 改正点③ : 短時間労働の障害者の扱い
  5. 改正点④ : 除外率の引き下げ

注) このレポートは 2010年9月24日現在 の法令に基づき作成されています。


1. 障害者雇用促進法の概要

障害者雇用促進法とは、文字通り障害者の雇用促進を図ることを目的に制定された法律で、この目的を果たすために様々なルール(事業主の雇用義務など)が定められています。

(1) 事業主の雇用義務(法定雇用率)

民間企業、国、地方公共団体等は、それぞれ次の割合に相当する数以上の障害者を雇用しなければならないとされています。

  • 民間企業 → 1.8%
  • 国、地方公共団体、特殊法人、独立行政法人 → 2.1%
  • 都道府県等の教育委員会 → 2.0%

つまり、民間企業においては、常用労働者数56人に1人以上の割合で障害者を雇用しなければならないということになります。

(2) 障害者雇用納付金制度

上記の雇用率を満たしていない企業からは納付金(障害者雇用納付金)を徴収し、徴収された納付金は雇用義務数より多くの障害者を雇用している企業に対して調整金(障害者雇用調整金)として支給されたり、障害者を雇用するために必要な施設・設備費等に充てられたりしています。

  • 「障害者雇用納付金」・・・不足1人当たり月額5万円を徴収
  • 「障害者雇用調整金」・・・超過1人当たり月額2万7千円を支給

(3) 障害者雇用促進法の定める「障害者」とは?

障害者雇用促進法の定める「障害者」とは、次のものをいいます。

  1. 身体障害者
  2. 知的障害者
  3. 精神障害者
  4. 重度身体障害者 (※1)
  5. 重度知的障害者 (※2)

(※1) 身体障害者のうち、身体障害の程度が重い者であって厚生労働省令で定めるもの
(※2) 知的障害者のうち、知的障害の程度が重い者であって厚生労働省令で定めるもの


2. 改正点① : 納付金制度の対象範囲拡大

障害者雇用納付金制度の対象となる事業主の範囲が、次のように拡大されました。

改正前
常時301人以上の労働者を雇用する事業主
改正後
平成22年7月から、常用労働者が200人を超え300人以下の事業主も適用
平成27年4月から、常用労働者が100人を超え200人以下の事業主も適用

3. 改正点② : 納付金の減額特例

納付金の額については、当面は次の減額特例が設けられました。

  • 常用労働者が200人を超え300人以下の事業主
    平成22年7月~平成27年6月まで:5万円 → 4万円
  • 常用労働者が100人を超え200人以下の事業主
    平成27年4月~平成32年3月まで:5万円 → 4万円

〔参考〕 調整金については、2万7千円のまま変更ありません。


4. 改正点③ : 短時間労働の障害者の扱い

改正前
これまで障害者雇用率制度においては、週所定労働時間が30時間以上の労働者を「実雇用障害者数」や「実雇用率」の算定の基礎としており、このため、重度でない身体障害者や知的障害者である短時間労働者についてはカウントされませんでした。
改正後
今回の法改正により、「実雇用障害者数」や「実雇用率」をカウントする際に、身体障害者又は知的障害者である短時間労働者(週所定労働時間20時間以上30時間未満)を「0.5人」とカウントすることとされました。

5. 改正点④ : 除外率の引き下げ

除外率とは、一律に法定雇用率を適用することになじまない(障害者が就業するのに困難)と認められる業種について事業主負担を調整し、障害者の雇用義務の軽減を図るために設けられているものです。

これにより、本来雇用しなければならない「法定雇用障害者数」の算定に当たって、常用労働者数から、その業種ごとに定められた一定の割合の人数を除外することが認められています。

この除外率は、もともと平成14年の法改正により段階的に廃止・縮小されることとされていましたが、今回の法改正により従前の除外率から一律10%引き下げられることとなりました。

計算例は次の通りですが、これによって算出された常用労働者数に基づき「法定雇用障害者数」や「実雇用率」が計算されることとなります。(※常用労働者数250名、従前の除外率20%だった場合の例)

改正前
250名 × 除外率20% = 200名
改正後
250名 × 除外率10% = 225名

つまり、法定雇用障害者数は改正前が3名(200名×1.8%)だったのに対して、改正後は4名(225名×1.8%)となります。

なお、除外率設定業種であるかどうかの具体的な判定は、ハローワークが行うこととなっており、毎年度、ハローワークに提出している6月1日現在の「障害者雇用状況報告書」でも確認することができます。


あとがき

今回の法改正では、この他にも障害者雇用率の計算において週所定労働時間30時間未満のパート等の取り扱いが変わったり、グループ企業における計算方法を確認する必要があったり、実務上注意すべき点がいくつかあります。

これまで除外率の適用を受けていた事業主はもちろん、パートタイマーが多い事業所やグループ経営をされている事業所などは、今一度、雇用すべき障害者数が正しいかどうか確認しておかれるとよいでしょう。

障害者雇用の促進については、中小企業への期待は大きく、期待に応えてくれる中小企業に対しては「特定求職者雇用開発助成金」、「障害者雇用ファーストステップ奨励金」などの助成金も用意されています。

障害者雇用に関して見直し・検討される場合は、これらの助成金申請も合わせて検討されるとよいでしょう。