中薗総合労務事務所

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派遣先の基礎知識
労働社会保険レポート!

労働・社会保険関連の 実務レポート100選 で、目指すは 1テーマを5分で理解できる! です。
※ 各レポートは、作成日(又は改訂日)現在の法令に基づき作成されていますのでご注意ください。

今回は、現在、法改正が議論されている「労働者派遣法」についてレポートします。

この法律は、時代の変遷とともに改正が繰り返されていますが、現状について「派遣先」(派遣労働者を受け入れる側)の立場にたってポイントをまとめてみました。

しっかり基礎知識を押さえて、労務管理についての不安を解消していただければ幸いです。

≪目次≫

  1. 適正な労働者派遣について
  2. 派遣会社との労働者派遣契約
  3. 派遣労働者の受け入れ
  4. 派遣労働者の労務管理
  5. 労働者派遣契約の終了

注) このレポートは 2010年2月3日現在 の法令に基づき作成されています。


1. 適正な労働者派遣について

(1) 労働者派遣と請負の違い

  • 派遣の場合・・・雇用主は派遣会社で、派遣先が派遣労働者に指揮命令します。
  • 請負の場合・・・雇用主は請負会社で、発注者は派遣労働者に指揮命令できません。

その他、労働者派遣と請負の違いについては、行政通達(昭和61年4月17日労働省告示第37号)に区分基準が詳細に定められていますのでご注意ください。

(2) 偽装請負について

請負であるにもかかわらず、派遣先が派遣労働者に対して指揮命令をすれば偽装請負ということになり、労働者派遣法違反となります。

ただし、請負会社に対して新たな機械の操作方法を説明することや、安全衛生上緊急に対処する必要のある事項について指示を行うこと等はこの限りではありません。

(3) 二重派遣について

派遣会社(派遣元)から受け入れた派遣労働者を、さらに別の会社に派遣することを二重派遣といい、職業安定法違反となります。

(4) 派遣禁止業務

建設、港湾運送、警備、病院等における医療関係業務(一部除く)は労働者派遣が禁止されています。


2. 派遣会社との労働者派遣契約

(1) 派遣業の許可・届出

許可・届出派遣会社以外から派遣労働者を受け入れることは禁じられていますので、受け入れの際は許可番号(一般派遣の場合)や、届出受理番号(特定派遣の場合)を確認するようにしましょう。

(2) 事前面接の原則禁止

派遣先が派遣労働者を指名すること、事前に面接を行うことや履歴書を送付させること等は紹介予定派遣の場合を除いて禁止されています。

(3) 契約内容

派遣先は、派遣会社(派遣元)との間で労働者派遣契約を締結しなければなりませんが、その際は次の内容について定めなければなりません。

  1. 業務内容
  2. 就業場所
  3. 直接指揮命令する者
  4. 派遣期間・就業日
  5. 就業の開始・終了時刻、休憩時間
  6. 安全・衛生の確保に関する事項
  7. 苦情の処理方法、処理体制
  8. 解除に当たって講ずる必要な措置
  9. 紹介予定派遣に関する事項(※紹介予定派遣の場合)
  10. 派遣元責任者・派遣先責任者に関する事項
  11. 時間外労働させることができる時間数(36協定の範囲内)
  12. 派遣労働者が利用できる施設等(ロッカー、食堂、診療所など)
  13. 期間制限のない業務に従事する場合は、その根拠条文

(4) 派遣受入期間の制限

物の製造、軽作業、一般事務等
原則1年間(過半数労働組合等の意見をきいたうで3年間まで延長可)
26業務
期間制限なし

〔補足1〕

26業務とは、ソフトウェア開発、機械設計、放送機器等操作、放送番組等演出、事務用機器操作、通訳・翻訳・速記、秘書、ファイリング、調査、財務処理、取引文書作成、デモンストレーション、添乗、建築物清掃、建築設備運転・点検・整備、案内・受付・駐車場管理等、研究開発、事業実施体制の企画・立案、書籍等の制作・編集、広告デザイン、インテリアコーディネータ、アナウンサー、OAインストラクション、テレマーケティングの営業、セールスエンジニアの営業・金融商品の営業、放送番組等における大道具・小道具をいいます。


〔補足2〕

上記26業務のほか、次の業務も期間制限はありません。

  1. 3年以内の有期プロジェクト
  2. 日数限定業務(1ヶ月の勤務日数が通常の労働者の半分かつ10日以下)
  3. 産前産後休業、育児休業等を取得する労働者の業務
  4. 介護休業等を取得する労働者の業務

(5) 期間制限抵触日の通知

派遣受入期間は、派遣会社(派遣元)や派遣労働者が変わっても通算されます。派遣先でないと、受入期間の制限に抵触する日がわからないため、派遣先が労働者派遣契約の締結時に派遣会社に通知しなければなりません。


3. 派遣労働者の受け入れ

(1) 労働保険・社会保険の適用

受け入れようとする派遣労働者について、派遣会社(派遣元)で労働保険・社会保険の適用が適切に行われていることを確認して下さい。

(2) 派遣先責任者の選任

派遣先は、受入事業所ごとに派遣労働者100人当たり1人の派遣先責任者を選任しなければなりません。なお、製造業務の場合は、選任した派遣先責任者のうち、製造業務に従事する派遣労働者100人当たり1人を製造業務専門派遣先責任者にしなければなりません。

(3) 派遣先管理台帳の作成

派遣先は、事業所ごとに派遣先管理台帳を作成し、派遣労働者ごとに次の内容について記載しなければなりません。

〔派遣先管理台帳の記載事項〕

  1. 派遣労働者名
  2. 派遣会社名
  3. 派遣会社の事業所名
  4. 派遣会社の事業所住所
  5. 派遣就業した日
  6. 始業・終業時刻、休憩時間(実績)
  7. 業務の種類(実績)
  8. 就業した場所
  9. 苦情の処理状況
  10. 紹介予定派遣である旨(※紹介予定派遣の場合のみ)
  11. 派遣先責任者、派遣元責任者
  12. 期間制限のない業務の場合、その根拠条文など
  13. 派遣会社から通知を受けた労働保険・社会保険の加入状況

※ 上記1.及び5.~8.については、1月に1回以上派遣会社に通知する必要あり。

(4) 関係法令の周知

派遣先は、関係者(派遣労働者や直接指揮命令する者等)に関係法令を周知しなければなりません。


4. 派遣労働者の労務管理

(1) 労働者派遣契約の遵守

派遣労働者が労働者派遣契約と異なる働き方をしていたときは、労働者派遣法違反となります。定期的に就業場所を巡回し、派遣労働者の就業状況が契約に反していないか確認しなければなりません。

(2) 派遣先の責務

労働基準関係法令の責務は、基本的には派遣会社(派遣元)が負いますが、

  1. 労働時間管理
  2. 危険防止措置
  3. 健康障害防止措置

等は、派遣先にその責務が分担されています。

(3) 苦情処理

派遣先と派遣会社(派遣元)は、それぞれ派遣労働者からの苦情の申出を受ける者を決めなければならず、派遣先は、派遣労働者から苦情を受けたら、派遣会社(派遣元)に通知し、連携してその処理にあたらなければなりません。

(4) 就業環境・福利厚生・教育訓練など

派遣先は派遣労働者に対するセクハラ対策、妊娠中・出産後の健康管理に関する必要な措置を講じなければならず、また、施設(ロッカー、食堂、診療所など)について派遣労働者も利用できるよう努めなければなりません。

さらに、派遣会社(派遣元)が行う職業訓練や自主的な能力開発について可能な限り協力し、便宜を図るよう努めなければなりません。


5. 労働者派遣契約の終了

(1) 雇用契約の申込義務

期間制限のある場合
期間制限抵触日以降、派遣先が派遣労働者を使い続けたいときは、雇用契約を申し込まなければなりません。
期間制限のない場合
派遣労働者が同じ職場で3年以上勤務している場合に、派遣先が直接雇用の労働者を雇い入れようとするときは、優先的に派遣労働者に雇用契約を申し込まなければなりません。

(2) 労働者派遣契約の中途解除

派遣先は、労働者派遣契約を解除する際には、事前に派遣会社(派遣元)に申し入れ、派遣会社の合意を得なければなりません。

遅くとも30日前の予告が必要で、そうでない場合には、派遣会社(派遣元)に賃金相当分の損害賠償をしなければならないケースがありますので十分ご注意下さい。

また、派遣先は派遣会社(派遣元)から請求があったときは、派遣契約解除の理由を明らかにしなければなりません。

(3) 派遣労働者の直接雇用

派遣会社(派遣元)は派遣先との間で、原則として派遣終了後に派遣労働者を直接雇用することを禁止する契約を結んではいけないこととされています。

また、紹介予定派遣(※)を含め派遣会社(派遣元)の紹介によって直接雇用した場合は、派遣会社(派遣元)に紹介手数料を支払う必要がありますが、派遣先が派遣終了後に、派遣会社(派遣元)を介さずに直接雇用した場合は、他の労働者を直接雇用するときと同様、紹介手数料を支払う必要はありません。

(※)紹介予定派遣とは?

派遣先への職業紹介(直接雇用)を予定して派遣する制度で、派遣先と派遣労働者の希望が合えば、派遣先が派遣労働者を直接雇用します。なお、紹介予定派遣の場合の派遣期間は最長で6ヶ月となっています。


あとがき

派遣労働は、雇用調整が容易であるということで、その需要がどんどん伸びてきました。

一方、契約形態が複雑な分、労働者保護が十分でなくなるケースがあり、後から様々な規制やルールがつけ加えられていきました。

今回のレポートは、それら経緯を反映した結果であるといえますが、いずれにしても企業経営の健全化や労働者の幸福の実現に向けては、制度・仕組みの理解と法令遵守の精神が欠かせません。

既にご存知の内容も多々あったかとは思いますが、今後の法改正(規制強化)をにらみつつ今一度、現状のご確認の機会として頂ければと考えます。


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