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年次有給休暇の基本
労働社会保険レポート!

今回は、「年次有給休暇の基本」についてレポートします。

年次有給休暇は使用者にとっても、労働者にとっても関心が高いテーマであるにも関わらず、意外と知られていない細かいルールが多数存在します。

このレポートでは、最低限押さえておきたいルールについてまとめてみましたので、ぜひ就業規則の作成や制度運用の際の参考にして頂ければ幸いです。

目次

  1. 年次有給休暇とは?
  2. 付与日数
  3. 比例付与
  4. 年次有給休暇の繰越し
  5. 年次有給休暇中の賃金
  6. その他運用上の注意点(6つのポイント)

注) このレポートは 2010年12月1日現在 の法令に基づき作成されています。


1. 年次有給休暇とは?

年次有給休暇とは、雇入日から起算して6ヵ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して与えられる休暇のことをいいます。(労働基準法39条)

(1) 継続勤務とは

継続勤務とは、在籍期間を指すので起算日は個々の労働者の雇入日となります。

もし、個々の労働者によって異なる起算日を便宜上4月や10月に統一する場合は、労働者の不利にならないように端数は切り上げなければなりません。

(2) 全労働日の8割以上出勤とは

全労働日とは、総暦日数から就業規則等で定められた所定休日を除いた就労すべきと定められている日を意味しますが、次の期間については出勤したものとみなされます。

  • 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間
  • 産前産後の女性が労基法65条の規定によって休業した期間
  • 育児介護休業法によって育児又は介護休業した期間
  • 年次有給休暇取得による休暇期間

2. 付与日数

年次有給休暇は、上記1.の要件を満たせば10労働日、以降1年ごとに継続年数に応じた日数が与えられます。

これをまとめると次の通りとなります。

勤続年数 有給休暇日数
6ヵ月 10日
1年6ヵ月 11日
2年6ヵ月 12日
3年6ヵ月 14日
4年6ヵ月 16日
5年6ヵ月 18日
6年6ヵ月 20日

出勤が8割に満たなければ、その年は新たな有給休暇は発生しませんが、翌年8割以上出勤した場合には上記の勤続年数に応じた有給休暇の権利が発生しますのでご注意ください。


3. 比例付与

1週間の所定労働日数が通常(5.2日)と比べて少ないパートタイマー等(労働日数が週4日以下又は年間216日以下。但し、週30時間以上の者を除く)については、通常の労働者とのバランスが考慮された日数となります。

これを比例付といい、具体的には次の計算例のように求められます。

≪比例付与の計算例≫
勤続6ヵ月、週4日勤務の場合
10労働日 × 4 ÷ 5.2 = 7.69 → 7労働日


4. 年次有給休暇の繰越し

その年に取得されなかった年次有給休暇は翌年度に限り繰り越せるものとされています。

例えば、勤続1年6ヵ月の人が前年の10日をまったく取得していなかった場合には、10日(前年未取得分)+11日(新たな発生分)=21日がその年の年次有給休暇の取得可能日数ということになります。


5. 年次有給休暇中の賃金

年次有給休暇中の賃金は就業規則等で定めるところにより

  1. 労働基準法第12条の平均賃金
  2. 通常支払われる賃金

のいずれかであり、一般的には2.が多いと思われます。

また、これとは別に労使協定を締結している場合には、「健康保険法に定める標準報酬日額」とすることもできます。

なお、労働基準法136条では「年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他の不利益な取り扱いをしないようにしなければならない。」と定めていますのでご留意ください。


6. その他運用上の注意点(6つのポイント)

(1) 労働者の時季指定権と使用者の時季変更権

年次有給休暇は、労働者の請求する時季に与えるのが原則とされています。

しかし、労働者の大部分が一斉に休暇を取ったりすると事業の運営が成り立たないことは明らかですので、「労働者の請求した時季に休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合には、これを他の時季振替えて与えることができる」とされています。これを使用者の時季変更権といいます。

なお「事業の正常な運営を妨げる場合」とは、単に使用者からみて業務が繁忙であるというだけではなく、あくまでも個別的、具体的、客観的に判断されるべきものであるとされています。

(2) 計画的付与

「労使協定により有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、5日を超える部分(前年度からの繰越し分を含む)については、その定めにより有給休暇を与えることができる。」とされており、これを計画的付与といいます。

この計画的付には、例えば

  • 一斉付与
  • 班別付与
  • 個人別付与

の各方式がありますが、いずれにしても計画的付与により一斉に年次有給休暇を与えるのであれば、残日数が5日未満の人も含めて付与しなければなりませんのでご注意ください。

(3) 時間単位年休

労使協定により次の4つの事項を定めた場合には、労働者の請求に基づき1年に5日を限度として時間を単位として有給休暇を与えることができるとされています。

  1. 対象となる労働者の範囲
  2. 時間単位で与えることができる有給休暇の日数(5日以内)
  3. 1日の時間数
    ※ 日によって所定労働時間が異なる場合は、1年における1日平均所定労働時間数。(4.も同じ)
  4. 1時間以外の単位で与える場合の時間数

なお、半日単位の付与は協定不要で認められます。

(4) 年次有給休暇の振替

病気欠勤日や忌引などに年次有給休暇を充当することは、使用者が一方的に行うことは許されないが、労働者の希望によるのであれば違法でなないとされています。(昭23.12.23基収4263号)

また、労働義務を免除される休職期間中などは、年次有給休暇を請求する余地がなく振替の問題も生じえないとされています。(昭31.2.13基収489号)

(5) 労働関係の終了と年次有給休暇

事業の廃止、労働者の解雇や退職によって労働関係が消滅した場合には、有給休暇請求権も消滅すると考えられています。

したがって、例えば解雇の予告が行われた場合は、休暇の権利は予告期間中に行使しなければ消滅するとされています。(昭23.12.23基収4264、昭23.4.26基発651号)

(6) 年次有給休暇の買い上げ

年次有給休暇の未消化日数に応じて一定の賃金を支払う(これを「休暇の買い上げ」と言っています。)は、制度の趣旨からして違法とされています。

ただし、これはあくまでも労働基準法上の年次有給休暇についてであって、同法に定める最低基準を上回る部分の休暇については買い上げも違法とはいえないし、また既に時効消滅した休暇の買上げも差し支えないとされています。(昭23.10.15基収3650号)