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残業抑制~7つの着眼点
労働社会保険レポート!

今回は、「残業時間の抑制」をテーマにレポートします。

昨今、過払金返還請求の次は、未払残業代請求が大きくクローズアップされるのではないかと一部で囁かれていますが、そもそも不要な残業は企業の収益面からも、従業員の健康面からも抑制するに越したことはないと言えます。

残業が多く発生する要因や背景は企業によって異なりますし、従って、その抑制方法も一概には語れません。

しかし、対策を少しずつでも講じていくか否かで、残業代に雲泥の差が出てくるでしょう・・・。

残業問題は、ただ減らせ!と号令するだけでは解決するものではなく、抑制していくためには様々な面で具体的な対策を講じていく必要があります。

今回のレポートは、残業時間や残業代の増加でお悩みの経営者、労務管理担当者様に向けて、その対策を考えていく際のヒントを7つの着眼点でまとめてみましたので、ぜひ参考にして頂ければ幸いです。

目次

  1. 業務の見直し
  2. 人材育成と人員構成の見直し
  3. 労働時間設定の見直し
  4. 各種労働時間制の有効活用
  5. 労働時間管理の改善
  6. 固定残業手当(定額残業手当)の導入
  7. 職場風土の改善・意識改革

注) このレポートは 2010年6月18日現在 の法令に基づき作成されています。


1. 業務の見直し

一般的に企業等においては、規模が拡大し従業員が増えたり、法律や制度改正などによって業務のやり方が変わったりするにつれて、それまでに無かった仕事や事務処理がどんどん増えていきます。

その結果、所定労働時間内に処理できなかった業務は残業して処理することになってしまいますので、そうした業務量の増大を抑えるためには、「捨てる、改める、新しくする」の発想で常に業務を見直していく必要があります。

つまり、不要な業務は止めてしまい、やり方に問題があればやり方を見直し、根本的に業務プロセスを変える必要があるなら変えてしまう(例:電子化する)などによって、まずは業務量自体を減らしたり、省力化や省人化を図っていくわけです。


2. 人材育成と業務分担の見直し

いくら業務を省力化、省人化したとしても、業務を行うのはやはり人ですので、スピーディーな業務処理を行うための人材育成は欠かせません。(例:定期研修、OJTなど)

そして、業務の中には

  1. イレギュラー又は高度な判断業務
  2. 定型的業務

が必ずといっていいほど混在していますので、1.は基幹的従業員が行い、2.はパート・派遣社員などの補助的従業員が行うようにすることによっても効率化が図れることがあります。

つまり、業務分担がうまくいっていないために、例えば、基幹的従業員が本来代わりがきくはずの定型的業務まで行ってしまう結果、残業を強いられているというケースがよく見られるのです。

また、ある特定の業務はこの人しかできないという状況を多く作ってしまうと、本来分担できる業務が分担できなくなり、非効率になってしまうこともありますので、その点もご注意いただきたいと思います。


3. 労働時間設定の見直し

業務の特性と会社で設定している労働時間がマッチしていないと、残業が発生しやすくなります。

例えば、所定労働時間の中に手待ち時間が多く含まれていると、実質的には休憩しているのに労働時間としてカウントされ、結果として残業が増えてしまうというケースがよくあります。

そういった場合は、所定労働時間(例:8時間)は変えずに、休憩時間だけを思い切って増やしてしまうという改善策が考えられます。

ただし、これにより拘束時間は増えることになりますので、従業員の不満要因とならないためには、あくまで実態に即して行う必要があります。


4. 各種労働時間制の有効活用

労働基準法においては、現代の労働環境の多様化に合わせて各種労働時間制(下記1.~3.)が用意されています。

一定の要件に当てはまっている場合は、これらの制度をうまく活用することで残業抑制につながることがあります。

制度
外回りの営業職など 事業場外のみなし労働時間制
1ヶ月の中で繁忙期と閑散期がある場合 1ヶ月単位の変形労働時間制
1年の中で繁忙期と閑散期がある場合 1年単位の変形労働時間制
小規模な小売店、飲食店、旅館など 1週間単位の非定型的変形労働時間制
業務開始・終了の時刻が日によってまちまちの場合 フレックスタイム制
新製品の研究開発業務、情報処理の分析業務等 専門業務型裁量労働制
事業運営に関する企画・立案・調査・分析の業務 企画業務型裁量労働制

5. 労働時間管理の改善

残業(時間外労働)を行うかどうかの判断は、従業員個々人に任せられているケースがよくありますが、これですと本来は必要のない残業まで増えることとなってしまう可能性があります。

したがって、残業する場合は事前に管理監督者(上司)へ「届出」や「許可」を得るようにすることによって、チェック機能が働き不要な残業を防ぐことにつながるケースがあります。

また、管理監督者はそもそも残業代の支給とはなりませんので、管理監督者に該当するかどうかも大きなチェックポイントのひとつとなります。

※ 参考レポートはこちら ⇒ 「管理監督者の判断基準」へ


6. 固定残業手当(定額残業手当)の導入

いくら業務や所定労働時間の設定などを見直したとしても、やはり所定労働時間を超えて労働することが常態化してしまうことがあります。

そのような場合は、通常発生するであろう残業代は、あらかじめ「固定残業手当」又は「定額残業手当」として支給するようにし、残業はその範囲内で納めてしまうという工夫や努力を促すようにした方がよいケースがあります。

これにより、どうせ残業しているのだからという具合いに、いわゆるダラダラ残業がどんどん増えていくのを防ぐ効果が期待できます。


7. 職場風土の改善・意識改革

残業代も賃金の一部と考えると、不況で昇給が期待できそうにないとなると、当然、残業代でその分を補填しようという考えも出てきます。

しかし、本来、賃金の原資は企業が生み出す利益ですので、利益が増えないのに人件費(残業代含む)だけが高騰してしまうと、いずれ経営が立ち行かなくなってしまいます。

そこで、残業代を頼りにするという発想から、いかに生産性の向上に目を向けるかという風土づくりが重要となってくるのであり、必要な残業手当は当然支給しなければなりませんが、基本的には「生産性なくして分配なし」の考え方に立って、企業とそこで働く従業員が共に幸せになるようにしなければなりません。

そういった職場風土づくりや意識改革が進めば、結果として残業抑制にもつながっていくものと考えます。


あとがき

残業は、ご存知のように時間単価が通常の1.25倍となり、さらに平成22年4月からは法改正により月60時間を超える場合は1.50倍となりました。(中小企業には猶予期間あり)

そのように考えると、余分なコストが増えるという面からサービス残業の問題が起こったりするわけですが、一方、コスト以上に時間当りの生産性が上がっているのであれば、残業代をその通り支払っても何ら問題がないということになります。

つまり、「売上高÷労働時間」で、同じ売上高のあがる仕事をいかに効率よくこなせるか、又は同じ労働時間ならその範囲内でいかに売上高を増やせるかによって、残業は善にも悪にもなるのです。

したがって、過重労働の問題を引き起こすほどのいき過ぎた残業となると話は別ですが、時間当りの生産性をいかに上げるかこそが、この問題をいかに解決していくかの本質的な問題ではないかと考えます。

とはいっても、確かに生産性を上げるということは一朝一夕にいくものではありません。

ですから、どこかで帳尻を合わすために残業代を不払いにするといったことが起こるわけですが、だからといって冒頭でも書いた通り、少しずつでも改善を進めていくか否かで、長い目で見ると雲泥の差が出てくるのです。

ぜひ高い意識を持って、今回のレポートを参考に改善を進めて頂ければと思います・・・。