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労働基準法の改正(H22)
労働社会保険レポート!

今回は、平成20年12月12日に公布された「労働基準法の一部を改正する法律」(平成20年法律第89号)についてレポートします。

この法改正は、長時間労働を抑制し、労働者の健康確保や、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を図ることを目的としており、平成22年4月1日から施行されます。

昨今、長時間労働は、社会的問題となっており、今後の企業経営において避けて通れない課題と言えますが、本稿は、官公庁発表の資料をもとにポイントをまとめましたので、ぜひ参考にして頂ければ幸いです。

<目次>

  1. 時間外労働の割増賃金率の引き上げ
  2. 割増賃金引上げなどの努力義務
  3. 年次有給休暇の時間単位取得

注) このレポートは 2009年1月14日現在 の法令に基づき作成されています。


1. 時間外労働の割増賃金率の引き上げ

1-1. 1ヶ月に60時間を超える時間外労働を行う場合(第37条第1項、第138条)

1ヶ月に60時間を超える時間外労働については、法定割増賃金率が25%から50%に引き上げられます。

なお、割増賃金率の引上げは、時間外労働が対象で、休日労働(35%)と深夜労働(25%)の割増賃金率は変更ありません。

中小企業については、当分の間、法定割増賃金率の引き上げは猶予され、施行から3年経過後に、あらためて検討されることとなっています。

猶予される中小企業とは?
  • 資本金の額又は出資の総額が
    小売業・サービス業 → 5,000万円以下
    卸売業 → 1億円以下
    その他 → 3億円以下
  • または、常時使用する労働者数が
    小売業 → 50人以下
    卸売業・サービス業 → 100人以下
    その他 → 300人以下

なお、上記の要件は、事業場単位ではなく企業(法人又は個人事業主)単位で判断されます。

1-2. 割増賃金の支払に代えた有給休暇の付与(第37条第3項)

事業場で労使協定を締結すれば、1ヶ月に60時間を超える時間外労働を行った労働者に対して、改正法による引上げ分(25%→50%=+25%部分)の割増賃金の支払に代えて、有給休暇を付与することができます。

なお、この有給休暇は、長時間の時間外労働を行ったときから一定の近接した期間内に、半日単位等のまとまった単位で付与することが考えられますが、詳細は、改正法の施行(平成22年4月)までに厚生労働省令で定められることになっています。

また、労働者がこの有給休暇を取得した場合でも、25%の割増賃金の支払いは必要となります。

〔具体例〕 時間外労働を月76時間行った場合

月60時間を超える16時間分の割増賃金引上げ分25%(50%-25%)の支払に代えて、有給休暇16時間×0.25=4時間分の付与が可能(ただし、76時間×1.25の賃金支払は必要)



2. 割増賃金引上げなどの努力義務

「時間外労働の限度基準」(平成10年労働省告示第154号:限度基準告示)により、1ヶ月に45時間を超えて時間外労働を行う場合には、あらかじめ労使で特別条項付きの時間外労働協定(通称「36協定」)を締結する必要がありましたが、新たに、

  1. 特別条項付きの時間外労働協定では、月45時間を超える時間外労働に対する割増賃金率も定めること
  2. 上記の率は法定割増賃金率(25%)を超える率とするように努めること
  3. 月45時間を超える時間外労働をできる限り短くするように努めること

という3点が盛り込まれました。

なお、上記の限度基準告示は、改正法の施行までに、あらためて改正される予定です。


3. 年次有給休暇の時間単位取得

現行では、年次有給休暇は1日単位で取得することとされていますが、事業場で労使協定を締結すれば、1年に5日分を限度として時間単位で取得できるようになります。

これにより、所定労働日数が少ないパートタイム労働者なども、事業場で労使協定を締結すれば、時間単位で取得できるようになります。

なお、1日分の年次有給休暇が、何時間分の年次有給休暇に当たるかは、労働者の所定労働時間をもとに決めることになりますが、詳細は、改正法の施行までに厚生労働省令で定められます。

年次有給休暇を日単位で取得するか、時間単位で取得するかは、労働者が自由に選択することができます。

例えば、労働者が1日単位で取得することを希望した場合に、使用者が時間単位に変更することはできません。


あとがき

ご覧いただいたように、今回の改正ポイントは、大きく次の2つに集約されます。

  1. 割増賃金率の引き上げに関すること
  2. 年次有給休暇の時間単位取得に関すること

その結果、これまでより、さらに細かな労務管理が求められるようになります。(ただし、年次有給休暇関連は、労使協定を締結すればの話です…。)

改正法の施行までに、若干の猶予期間はありますが、企業サイドとしては、少なくとも割増賃金率の引き上げに伴い、就業規則の変更や労働時間管理の見直し、給与計算方法の変更などの対応に迫られることもあります。

どこまで行政官庁による監督強化がなされるのか、現時点では判然としませんが、実施されるのは間違いないことですので、ぜひ早めに対応しておきましょう。